【半導体業界ニュース】2025年8月のニュースを10本厳選してご紹介!

当ページのリンクには広告が含まれています。

2025年8月に半導体業界で生じたニュースを10本厳選してご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2025年8月号

2025年8月末時点の半導体関連株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年8月号

アオイ電子、シャープ三重事業所第2工場も買収

アオイ電子は7/31、シャープ三重事業所の第2工場と土地の売買契約を締結したと発表しました。

同社がシャープから買収する三重事業所第2工場は三重県多気郡多気町にあり、延床面積と生産エリアがそれぞれおよそ54,000㎡、20,000㎡となっています。

第1工場は既に2025年3月に取得しており、第1工場に加えて第2工場も取得して、先端パッケージ事業をはじめとする新規事業への対応力を強化し、生産ラインの早期立ち上げを図るとしています。

今後、専用設備の整備や人員体制を強化して2027年度の本格稼働を目指す計画です。

コメント

第1工場を取得した際に第2工場取得も検討していると発表されていましたので、時間の問題と思っていましたが、やはり第2工場もアオイ電子が取得するようです。シャープの方はデバイス事業のアセットライト化の方針が進んでいます。ただ段々と形がなくなってしまうように思えるのは私だけでしょうか。アオイ電子に有効活用してもらうことを願うばかりですね。

基ニュース

アオイ電子:プレスリリース(7/31)

シャープ:プレスリリース(7/31)

DIC、千葉工場にエポキシ樹脂プラントを新設へ

DICは8/1、千葉工場にエポキシ樹脂プラントを新設することを決定したと発表しました。

同工場の既存プラントの隣接地に新規プラントを建設、エポキシ樹脂の中長期的な生産能力の確保をするとしています。新プラント建設によって、半導体用エポキシ樹脂の生産能力は約59%増強される見込みで、2029年7月供給開始予定というスケジュールです。

投資金額はおよそ90億円で、今回の投資計画が経済安全保障推進法に基づく「供給確保計画」として経済産業省から認定され、最大でおよそ30億円が助成される見込みです。

コメント

DICが半導体の封止材などに使われるエポキシ樹脂の生産能力を拡大させるようです。今回のような材料関係も経済産業省の認定によって助成金が交付されます。デバイス関係の投資が金額が大きくなりがちですが、こうした日本の企業が得意とする材料関係への助成も大切ですね。

基ニュース

DIC:プレスリリース(8/1)

東京応化工業、韓国平澤に新工場建設へ

東京応化工業は8/6、韓国京畿道平澤市に工場を新設すると発表しました。

新工場は韓国における高純度化学薬品の安定した供給体制の構築のために設けるとしており、化学薬品製造棟及び倉庫、付帯設備を含めた第1期工事におよそ120億円を投じる計画です。稼働開始は2027年下期の予定としています。

同社では今後も韓国における材料供給能力増強投資を検討するとしています。

コメント

東京応化工業が韓国における強固なサプライチェーン構築を進めるようです。韓国も大きなメーカー、工場が多々ありますので現地製造のニーズも強いのだろうと想像できますね。

基ニュース

東京応化工業:プレスリリース(8/6)

サンケン電気、パウデックを吸収合併

サンケン電気は8/13、GaNパワーデバイス市場における競争力を高めるためにパウデックを吸収合併すると発表しました。

パウデックは栃木県小山市に本社と工場を持ち、窒化ガリウム系半導体エピ基板の開発および生産を行っています。独自のPSJ(Polarization Super Junction)構造の横型GaN-FET技術を持っており、サンケン電気は高耐圧横型GaNの早期製品化を目指すために2025年4月に同社を買収し子会社化していました。

今回の吸収合併は2025年10月に効力発生予定となっており、サンケン電気が存続会社となりパウデックは解散します。

コメント

サンケン電気がGaNパワーデバイスの競争力向上のために買収していたパウデックを吸収合併します。ここ最近、GaNパワーデバイスの実用化もどんどんと進んでいます。開発スピードを上げて市場での存在感を大きくしてもらいたいものです。

基ニュース

サンケン電気:プレスリリース(8/13)

ソフトバンクグループ、インテルへ20億ドル出資へ

ソフトバンクグループは8/19、20億ドル(約2,940億円)を出資しインテルの普通株式を取得する契約を締結したと発表しました。

今回の契約条件で同社は、インテルの普通株式を1株あたり23ドルで取得するということです。この出資は同社とインテルが米国内における先端技術や半導体への投資をより一層強化している中で行われるものとしており、インテルによる米国での半導体製造を後押しする形になります。

デジタルトランスフォーメーションやクラウドコンピューティング、次世代インフラを支える先端技術へのアクセスを加速させ、AI革命の実現を目指すという同社の長期的なビジョンをさらに推進するものとしています。

コメント

米国政権もインテルへの出資を検討しているという報道もあるように、ソフトバンクグループによる出資も色々な思惑がありそうです。いずれにしてもインテルの今後については注目ですね。

基ニュース

ソフトバンクグループ:プレスリリース(8/19)

ノリタケ、GaNウエハ用研磨パッド開発に成功

ノリタケは8/20、高速通信向けなどに用いられる窒化ガリウム(GaN)ウエハ用の研磨パッドを開発したと発表しました。

GaN半導体は、その材料特性からより高い周波数で動作でき、高電圧・大電流にも耐えられるため、使用拡大に向けた研究開発と実用化が進んでいます。半導体ウエハは、微細な回路形成をするために研磨パッドを用いてウエハ表面を平坦化する必要があります。しかしGaNウエハは硬く脆い素材のため研磨加工が難しく、平坦化の加工時間が長いという課題があります。

今回同社は有機物と無機物を複合する独自技術によって、研磨速度を上げることが可能な強酸性領域に耐えられる研磨パッドを開発しました。

今回開発された研磨パッドでは研磨速度が従来の30倍であり、かつ寿命が15倍以上になるとしています。加えて研磨の加工時間短縮によりスラリーの使用量低減、寿命延長によって廃棄されるパッドも低減できるため、産業廃棄物が低減できるということです。

コメント

GaNは高速通信用やパワー半導体としての使用が広がっています。そうした中で材料特有の課題を解決できる部材が開発されることはGaN半導体そのものの使用拡大にもつながりそうですね。

基ニュース

ノリタケ:プレスリリース(8/20)

旭化成、感光性ポリイミドの生産能力増強のために設備投資へ

旭化成は8/22、感光性絶縁材料であるパイメル™の将来的な需要拡大対応として、生産能力増強の設備投資を決定したと発表しました。

パイメル™とは液状の感光性樹脂材料で、半導体チップの表面保護やバンプ用のパッシベーション層、再配線用の絶縁層などに使用されています。特に生成AIなどの先端半導体向け層間絶縁膜市場は、足元では年平均8%で成長しており、今後も2030年頃までは続くとみられているためこの需要に応えるために今回の投資を決定したとしています。

対象となるのは同社が静岡県富士市にもつ既存工場の敷地内で、投資金額はおよそ160億円です。2028年上期から商業運転を開始させる計画で、今回の投資によって、2030年には2024年度比で2倍の生産能力になるということです。

コメント

旭化成がチップの表面保護やRDLの絶縁層に使用される材料の生産能力を増強させるようです。現状もそうだと思いますが、今後は先端パッケージ品での需要拡大が続くと考えられますので、先を見据えて能力増強を図っていくようですね。

基ニュース

旭化成:プレスリリース(8/22)

東芝、SICCとSiCパワー半導体用ウエハに関する連携を基本合意

東芝デバイス&ストレージは8/22、SICCとSiCパワー半導体用ウエハについて連携していくことの基本合意をしたと発表しました。

今回の合意内容は、SICCが開発・製造するSiCパワー半導体用ウエハに関して次の2点です。より詳細な内容は今後協議を進めるとしています。

  • SiCパワー半導体の特性向上、品質改善に向けた技術協力
  • その成果を用いた両社間での高品質で安定的なウエハー供給の拡大に向けたビジネス上の連携を行うこと

SICCは2010年に創業されたSiCウエハ専業メーカーです。2022年中国初のSiCをテーマとした株式上場を機に、グローバルな事業拡大と市場シェア拡大を実現してきており、2024年には12インチのSiCウエハを発表しています。

コメント

東芝は既に自社(子会社)でSiCウエハも製造しSiCパワー半導体に注力しているロームと連携しています。調達先の多様化と思いますが、今後どうなっていくのかと考えてしまいます。ルネサスが撤退するなど市況は厳しい状況ですので今後の動きにも注目したいです。

基ニュース

東芝:プレスリリース(8/22)

旭化成、スピンアウトベンチャーであるULTECを設立

旭化成は8/25、同社発のスピンアウトベンチャーとなるULTECが設立されたと発表しました。

ULTECはウルトラワイドギャップ半導体である窒化アルミニウム(AlN)を用いた深紫外線レーザーダイオードや遠紫外線LED、深紫外線センサ、高耐圧パワーデバイスなどの開発・事業化を進めるスタートアップです。

旭化成は2017年から名古屋大学と深紫外線レーザーダイオードの共同研究進め、2019年には世界初となる室温パルス発振、2022年にはこちらも世界初となる室温連続発振を実現しています。

今回、スピンアウトによるスタートアップを設立し、そこに旭化成が持つ技術をライセンスすることによって意思決定のスピードを高め、名古屋大学の研究設備などの外部リソースを活用してファブレスによるアセットライトな事業モデルとして社会実装を進めるとしています。

コメント

旭化成が深紫外線レーザーダイオードなどの技術について市場拡大のためにスピンアウトのスタートアップを設立するようです。自社内で事業化するのではなく、非連結会社のスタートアップを設立するのは珍しいように思いますので、市場創造に期待したいですね。

基ニュース

旭化成:プレスリリース(8/25)

ラピダス、キーサイトと歩留り向上・PDK高精度化のための戦略的協業

ラピダスは8/26、キーサイト・テクノロジーとMOU(基本合意書)を締結したと発表しました。

今回の協業で同社ははキーサイトが有する半導体のパラメトリックテスト技術、解析技術、製造プロセス最適化に関するノウハウを活用し、DMCO(Design-Manufacturing Co-Optimization)の高度化を進めて高精度なPDK開発を進めるとしています。

具体的にはPDKの高精度化要因を抽出し、影響度を明確にするための手法や技術を協議、そしてそれら手法の実現、実装に向けて検討を実施するということです。回路性能向上やウエハ品質改善についても同様の取り組みを並行して行うとしています。

コメント

ラピダスは先行顧客向けに2026年3月にPDKをリリースする計画です。そこに向けて長年半導体パラメトリックテスター等を提供して半導体製造プロセスを支援してきたキーサイトと協業するということで、今後の動きに引き続き注目です。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(8/26)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次