2025年11月に半導体業界で生じたニュースを厳選してご紹介します。
動画で説明:半導体業界ニュース2025年11月号
11月末公開予定
2025年11月末時点の半導体関連株式市場推移
11月末公開予定
各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年11月号
SCREEN、ニコンのウエハ接合技術に関する研究開発事業を譲受

SCREENホールディングスは10/31、ニコンが保有するウエハ接合技術に関する研究開発事業を譲受したと発表しました。
同社は中期経営計画「Value Up Further 2026(3カ年)」の下、成長投資を重点的に行っており、特にアドバンスドパッケージ事業は新規事業領域として成長が期待されるため、今回の譲受に至ったとしています。
アドバンスドパッケージ分野では、省スペースや省電力の需要の高まりを受けてウエハ接合技術のさらなる高精度化が求められているとしており、同社ではウエハの低温接合技術の開発および実装化を進めています。
今回の事業譲受によってニコンが持つ超高精度接合技術やノウハウと同社の既存技術を融合して世界最高水準の接合技術を目指すとしています。
今回の契約によってニコンが保有するウエハ接合技術やノウハウ、知的財産などがSCREENに譲渡されるということです。ウエハの接合ではその前後で洗浄が入ってきますので、SCREENの強みを発揮できる領域と考えられます。
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SCREENホールディングス:プレスリリース(10/31)
ニコン:プレスリリース(10/31)
テクセンドフォトマスク、シンガポール新工場の起工式を挙行

テクセンドフォトマスクは10/31、シンガポールに新工場を建設することを決定し、起工式を挙行したと発表しました。
新工場はシンガポール東部の主要工業地帯である30 Tampines Industrial Avenue 3に建設されます。シンガポールでは政府の積極的な支援のもと、半導体関連産業の集積と生産能力の拡大が進んでおり、フォトマスクの需要も大幅な増加が見込まれているとしています。
加えて将来的なインド市場への供給拠点としての戦略的価値を見据えており、東南アジアやインド市場の成長を取り込むためにシンガポールに新工場を設立することを決定したということです。
テクセンドフォトマスクがシンガポールに新工場を建設するということです。半導体の工場はいくつか存在するシンガポールですが、フォトマスクの工場はこれが初めてになるようです。HOYAなどの材料メーカー拠点も近くにあるということのようで、いい立地のようですね。
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テクセンドフォトマスク:プレスリリース(10/31)
産総研、GAA構造トランジスタを試作可能なパイロットラインを構築

国立研究開発法人 産業技術総合研究所(産総研)は11/5、最先端ロジック半導体で使用されるGAA(Geta All Around)構造のトランジスタを製造できる共用パイロットラインを国内で初めて確立したと発表しました。
これはNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)の助成事業の元で東京エレクトロン、SCREENセミコンダクターソリューションズ、キヤノンの3社との共同研究を通じた成果ということです。
今回設置されたパイロットラインには産総研の持つスーパークリーンルームに16台の最新装置が新規導入され、多段シリコンナノシートやGAA構造形成、原子層堆積(ALD)など、高度な前工程プロセス技術が確立されています。試作したトランジスタは正常な動作・電気特性を確認済みで、各プロセスはモジュール化され、利用者が安全にノウハウを守りながら設備を活用できるということです。
パイロットラインは既に共同で実施した装置メーカー3社による活用も始まっており、人材育成や産業界の競争力強化にもつながると期待されています。
産総研がGAA構造を形成できるパイロットラインを構築したようです。これまで国内では不可能だった最先端構造デバイスの試作・検証が、実現できるようになったことの意義は大きいと思います。これを活用して日本企業が得意とする装置メーカーや材料メーカーの研究開発が進んでくれるといいですね。
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産業技術総合研究所:プレスリリース(11/5)
ローム、国内製造グループ会社再編に伴う新会社名を決定

ロームは11/6、国内グループの製造拠点再編に伴い、新たな製造会社2社の社名を決定したと発表しました。
同社では2025年10月に前工程と後工程の機能ごとに組織を再編すると公表していましたが、前工程の製造会社をローム・デバイス マニュファクチャリングに、後工程の製造会社をローム・アッセンブリ マニュファクチャリングにそれぞれ決定したということです。
今回の再編の狙いは、前工程と後工程それぞれの意思決定を迅速かつ最適化できる組織体制の構築にあります。これによって、各関連会社が培ってきた技術やノウハウの共有による品質向上、業務プロセスの標準化や効率化、生産性向上が期待されます。
先月公表されていたロームの製造子会社再編に伴う新会社の社名が早々に決まって公表されました。個人的な感想としてはわかりやすい社名になったのではと思っています。どことは言いませんが、近年は近年は社名からその企業が何をやっているかわかりずらいものがありますので、そういった名称にならなくてよかったのではと勝手に感じています。
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ローム:プレスリリース(11/6)
日本ガイシ、チップレット集積対応のためハイセラムキャリア生産能力を増強へ

日本ガイシは11/14、チップレット集積時に半導体チップを一時的に固定するサポートウエハなどに使用されるハイセラムキャリアの生産能力を増強すると発表しました。
ハイセラムキャリアは同社が長年培った透光性セラミックスで、光を通す性質に加えて高い剛性や耐久性を持った素材です。ガラス製のサポートウエハの課題である反りや破損を大幅に低減できるとしています。
今回の設備投資では製造を担う子会社であるNGKセラミックデバイスなどの生産設備を増強することで、生産能力を2027年度までに現在の3倍にするというものです。今後は安定した供給体制を構築して2030年度に売上高200億円の達成を目指すとしています。
AI向けなどの高性能半導体ではチップレット集積化が進んでいます。日本ガイシが得意とするセラミックス材料も活用が進んでいるようですので、市場の伸びと共に成長していくのか今後が楽しみですね。
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日本ガイシ:プレスリリース(11/14)
住友化学、台湾の半導体用プロセスケミカル企業AUECCを買収

住友化学は11/20、台湾の半導体用プロセスケミカル企業であるAsia Union Electronic Chemical Corporation社(AUECC社)の全株式を取得することで合意したと発表しました。
AUECC社は1998年に設立された企業で、フッ酸や硫酸、過酸化水素などの各種化学薬品を取り扱います。本社は台湾の台北市にあり、台湾の高雄市と米国ネバダ州に製造拠点を有しています。
今回住友化学が同社を買収することで、住友化学は半導体用プロセスケミカル事業において台湾初の製造拠点を、また米国ではテキサスに次ぐ第二の製造拠点を取得し、さらなる事業拡大を目指すとしています。
買収金額は非公表となっており、今後、関係当局の承認など必要な手続きを経て買収が完了する予定ということです。
住友化学が台湾の化学メーカーを買収するようです。これによって台湾と米国というグローバルな供給体制の拡充が進むようです。同社は半導体材料事業を積極的に拡大させていく方針のようですので、今後も楽しみですね。
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住友化学:プレスリリース(11/20)
