2026年3月に半導体業界で生じたニュースを9本厳選してご紹介します。
動画で説明:半導体業界ニュース2026年3月号
2026年3月末時点の半導体関連株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2026年3月号
キヤノンと日本シノプシス、画像処理SoC技術開発しラピダスへ製造委託へ

キヤノンと日本シノプシスは、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「ポスト5G情報通信システ厶基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」に採択された、研究開発プロジェクト「先端半導体技術を活用した画像処理SoC技術開発」に参画すると発表しました。
今回のプロジェクトでは、キヤノンの画像処理技術、日本シノプシスの設計技術を融合、NEDOの支援を受けて次世代半導体の設計技術開発に共同で取り組むということです。
具体的には、2nm世代プロセス技術に、複数チップを高密度統合できるチップレット技術を組み合わせて、これまでは単一のチップでは実現困難だった高性能・低消費電力を両立する画像処理SoCの設計するとしています。
2nm世代プロセスのチップ及びチップレット構造のパッケージング設計、試作はラピダスへ委託します。研究開発の期間は原則5年(60カ月)となっています。
キヤノンと日本シノプシスの共同開発プロジェクトが開始され、その製造にはラピダスを使うということのようです。開発と試作ですので、大量に製造するという量産ではありませんが、今後に向けて期待をしたいですね。
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キヤノン:プレスリリース(3/3)
経済産業省:プレスリリース(3/3)
ローム、インドSuchi Semiconと戦略的パートナーシップを締結

ロームは3/3、Suchi Semiconとインドにおける半導体製造に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。
今回の協業は、インドでの半導体製造能力を高めるとともに、インド国内市場の需要に応え、将来的にはグローバル市場への対応も視野に入れるものとしています。
具体的には、同社はパワーデバイスやLSIの後工程をSuchi Semiconへの製造委託することを検討しており、すでに2026年中の量産出荷に向けた評価を開始しているということです。
そして今後数年で見込まれる市場成長に対応できるよう、インドでの製造体制を早い段階から整えていくということです。
ロームがインド市場での攻勢に出ているようです。25年12月にはタタ・エレクトロニクスとも戦略的パートナーシップを締結しており、今回はSuchi Semiconとパートナーシップ締結ということです。今後市場成長が期待される分野ですので、将来的な成果に期待をしたいですね。
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ローム:プレスリリース(3/3)
デンソー、ローム、東芝、国内パワー半導体メーカーで再編か

日本経済新聞社は3/6、自動車部品メーカー大手のデンソーがロームに対してTOB(株式公開買い付け)による買収を提案したと報道しました。さらに3/12、ロームと東芝がパワー半導体事業を統合する交渉に入ったと報道しました。
元々ロームと東芝は、2023年12月にSiCとSiのパワー半導体生産能力強化のために共同で申請した投資計画が経済産業省の認定を受けて、最大で1,294億円が助成されるなど連携を進めていました。
一方のデンソーは富士電機とSiCパワー半導体の投資と製造連携を進め、2024年11月に経済産業省から最大705億円の助成を受けています。
今回の報道を受けてデンソーは、「当社が発表したものではありません」としていますが、ロームは「デンソーから本件を含む株式取得の提案を受領したのは事実」としています。
一連の報道を受けて、国内のパワー半導体メーカー再編かという様々な意見が飛び交っています。デンソーからロームへの買収提案があった点は事実のようですが、今後の動向はまったくわかりませんので、注目をしていきたいです。
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デンソー:プレスリリース(3/6)
ローム:プレスリリース(3/6)
スバル、インフィニオンと車載マイコン設計で協業

スバルは3/9、インフィニオン テクノロジーズと次世代車両向けの制御統合ECUに搭載するマイコン設計に関する協業を発表しました。
同社ではEV車やガソリン車などで共用するE/Eアーキテクチャの構築とADAS機能のさらなる高度化を目指して、車両制御情報の演算処理における超低遅延化と低消費電力化の両立を進めているとしています。
このためにインフィニオンの車載マイコンである「AURIX™ TC4x」の開発初期段階から設計に参画し、仕様の最適化に取り組んできたということです。
そしてこのTC4xを「次世代アイサイト」と「AWD制御を含めた車両運動制御」を連携、連動するための制御統合ECUに搭載するとしています。
車両制御用のマイコンも求められる性能が年々高まっています。スバルの持つアイサイトやAWD制御といった独自技術を支えているのも半導体ですので、今後もこうした協業が増えていくでしょう。
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スバル:プレスリリース(3/9)
JX金属、ひたちなか新工場でスパッタターゲット増産に230億円投資

JX金属は3/10、ひたちなか新工場でスパッタターゲットの生産能力を増強するために約230億円を投資すると発表しました。
ひたちなか新工場は、2026年3月末に半導体用スパッタリングターゲットの一部の生産設備の試運転を開始し、開業を迎える予定となっている工場です。
同社は、近年のAIデータセンター用途における先端のロジック半導体やメモリ半導体の需要拡大によって、スパッタターゲットも今後急速な需要拡大が見込まれているため、今回の投資判断に至ったとしています。
これによって生産能力は2023年度比で1.6倍になる見込みです。稼働開始は2027年度下期より順次稼働予定となっています。
JX金属がスパッタターゲットの増産投資を行うようです。新工場を建設してこれから稼働というタイミングですが、さらに増強するということで、今後の需要の強さを示していると思われます。
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JX金属:プレスリリース(3/10)
扶桑化学、研磨剤用原料の設備増強に400億円投資

扶桑化学工業は3/13、京都事業所において研磨剤用原料である超高純度コロイダルシリカの設備増強に400億円投資すると発表しました。
同社はこれまで2021年以降、京都事業所と鹿島事業所で設備投資を続けていました。今回は、今後も継続的な成長が見込まれることから、更なる設備投資を実施するということです。
操業開始時期は2029年2月で、2025年度比で生産能力が2割増加になる見込みとしています。
扶桑化学工業も設備能力向上に投資を進めるようです。超高純度コロイダルシリカは、CMPで使用されるスラリーの原材料になります。先端のロジックやメモリを中心に多くの製品製造に必要な材料ですね。
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扶桑化学工業:プレスリリース(3/13)
東京応化工業、福島県郡山市に工場用地を取得

東京応化工業は3/25、福島県郡山市と郡山西部第一工業団地(第2期工区)の土地売買契約を締結したと発表しました。
同社は郡山工場を主力生産拠点のひとつとしてフォトレジストおよび高純度化学薬品の製造を長年行っています。新たに取得した用地は郡山工場近隣の場所となります。
今回取得した用地はおよそ9万㎡、取得価格は約15億円です。
今後については、事業環境や市場動向を踏まえながら具体的な活用策について検討を進めるとしています。
東京応化工業はtok Vision 2030として2030年の売り上げ目標3,500億円を掲げています。そして現状は予想を上回るペースで需要が拡大しているようです。今回の工場用地取得はさらにその先を見据えたものと考えられます。長期的にもまだまだ成長の余地がありそうですね。
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東京応化工業:プレスリリース(3/25)
キオクシア、Nanyaに774億円出資しDRAM長期供給契約を締結

キオクシアは3/25、台湾のNanya Technologyが実施する第三者割当増資の引受をして774億円出資し、同社とDRAM長期供給契約を締結すると発表しました。
今回の契約はキオクシアのSSD事業に必要なDRAMを中長期的に安定的に確保することを目的としています。
同社が出資するNanya Technologyは1995年に設立されたDRAM専業メーカーです。上位3社であるサムスン電子、SKハイニックス、マイクロンからは大きく引き離されていますが、世界4位のシェアを持つメーカーです。
ただしDRAM長期供給契約締結の具体的な内容については公開されていません。
キオクシアがNanyaに出資をして、DRAM確保に動くようです。キオクシアは自社でフラッシュメモリを製造しSSD事業を行っていますが、そこに必要となるDRAMが外部から調達しています。AI需要によってDRAMもSSDも市場が拡大している昨今、調達のために出資をするなど対応に迫られているようですね。
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キオクシアホールディングス:プレスリリース(3/25)
ローム、東芝、三菱電機、パワー半導体事業の統合に向けた協議を開始へ

ローム及び東芝と三菱電機は3/27、ロームと東芝の半導体事業、三菱電機のパワーデバイス事業の統合に関する協議に向けた基本合意書を締結したと発表しました。
ロームと東芝は、これまでロームがJIP(日本産業パートナーズ)を通じて出資をしたり、共同での工場投資を進めるなど協力関係にありました。また半導体事業を統合するという報道も一部されていました。
今回は、この事業統合に向けた協議を開始すると正式に発表され、さらにそこへ三菱電機のパワーデバイス事業も加わるということです。
今後、この協議が実現して3社が統合した暁には、パワー半導体で世界2位、小信号ディスクリートでも世界2位というグローバルポジションとなる可能性を秘めています。
事業統合に向けたスケジュールや、スキームについては今後の協議ということです。
デンソーによるロームへの買収報道に端を発した、国内のパワー半導体事業再編の動きが具体的に加速してきたようです。ロームと東芝、さらに三菱電機も加わる3社の事業統合が果たしてうまく進むのか、どういったスケジュール、スキームで進むのか目が離せませんので、今後の動きにも注目をしていきたいです。またデンソーは何か違う動きをするのかどうかも気になるところです。
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ローム:プレスリリース(3/27)、発表資料
三菱電機:プレスリリース(3/27)
