【半導体業界ニュース】2022年12月のニュースを11本厳選してご紹介!

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動画で説明:半導体業界ニュース2022年12月号

各ニュース記事:半導体業界ニュース2022年12月号

WSTSの半導体市場予測、2023年は4年ぶりのマイナス成長予測

電子情報技術産業協会(JEITA)は11/29、WSTS(WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICS:世界半導体市場統計)の2022年秋季半導体市場予測を公開しました。

WSTSとは世界の主要半導体メーカー加盟する半導体市場に関する世界的統計機関です。毎年の春と秋の2回、各社が予測を持ち寄って検討する会議を開き、その結果を予測値として発表しています。

今回発表された予測によりますと、2021年の半導体市場は前年比+26.2%と新型コロナウイルス感染症の影響を受けた在宅需要の高まりなどの特需で急成長しました。 しかし、2022年は年初こそ2021年の勢いを維持していましたが、徐々に世界的なインフレやロシアによるウクライナ侵攻の長期化などに伴って個人向け電子機器需要が低迷し、市場成長率は前年比4.4%増に留まると予測されています。

そして2023年は市場成長率が前年比-4.1%と2019年以来4年ぶりのマイナス成長予測となっています。2022年途中からの市況悪化の影響が継続して、特に年の前半は半導体需要が低迷する見込みです。

ただし5G・IoT化の進展やそれに伴うデータセンター能力拡張の必要性などによって半導体の潜在需要はまだまだ強く、これらは年の後半から市場回復を牽引すると見込まれています。 加えて自動車の電動化・高性能化、再生エネルギー投資などの需要は安定しているため、半導体需要を下支えするものと考えられています。

地域別では日本、米国、欧州市場は2022年が共に二桁成長で、2023年はほぼ横ばいですが、市場規模がもっとも大きいアジア太平洋市場で2022年、23年と2年連続でのマイナス成長となっており、市場全体を押し下げています。

製品別ではIC製品のメモリ市場が2022年、23年と2年連続で二桁マイナス成長となっています。サムスン電子やSKハイニックスなどの韓国メーカーが強い市場ですので、この辺りが地域別の結果にも現れていると考えられます。

非IC製品は市場規模こそ大きくはありませんが、ディスクリート、センサ、オプト市場が共に2022年、23年もプラス成長予測となっています。

コメント

2021年から22年までのコロナ特需が終わり、23年は半導体業界としては厳しい年になりそうです。ただ全滅するわけではなく、製品別ではアナログ市場や非IC市場はプラス予測がされていますように底堅い製品もあります。
加えてWSTSでの見解にもありますように長期的には市場全体が成長していくことが考えられますので、来年は耐えてそれ以降での成長を期待したいです。

基ニュース

電子情報技術産業協会:プレスリリース(11/29)

熊本大学、半導体人材育成のための学部、学科を新設へ

熊本大学は11/30、2024年度(令和6年度)に半導体人材らを育成する学部相当の「情報融合学環」(仮称)と、工学部に学科相当の「半導体デバイス工学課程」(仮称)を新設することを発表しました。

半導体分野のグローバル企業(TSMC)の熊本進出を契機として、半導体分野における人材需要が高まっている中、地域に根差す国立大学として、その高度人材の供給に応えることは責務と考え、教育・研究の取組を加速化するとしています。

情報融合学環(仮称)には、DS(データサイエンス)総合コース(仮称)とDS半導体コースの2つを設け、DS半導体コースでは半導体を含む製造DX課題に対応できる力を育成します。

工学部半導体デバイス工学課程(仮称)では半導体デバイスの製造、評価、開発に携われる人材を育成します。

ただし「情報融合学環(仮称)」及び「工学部半導体デバイス工学課程(仮称)」設置構想については、今後、文部科学省大学設置・学校法人審議会の審査を受ける予定であり、構想は審査結果によって確定するものであり、変更の可能性があるとしています。

コメント

熊本大学が半導体を学ぶ学部、学科を新設するようです。これまで日本の大学には半導体を学ぶためには基本的に工学部電子系学科の1分野でしかありませんので、画期的なことです。
とは言え、教える側の人材確保や実験、研究の施設や装置類など課題はたくさんありそうです。
加えて情報融合学環と工学部半導体デバイス工学課程の2つを新設するようですが、特に前者は名称が分かりにくいので統一して半導体工学部のDS課程とデバイス工学課程にした方がいいのではないかと思いました。

基ニュース

熊本大学:プレスリリース(11/30)

グローバルウェーハズ、米国の300mmシリコンウエハ新工場起工

台湾グローバルウェーハズは12/1、米国テキサス州シャーマンで300mmシリコンウエハの新工場となるGlobalWafers Americaの起工式を開催しました。

同社の発表によりますと、米国でシリコンウエハ工場が建設されるのは20年以上ぶりであり、米国の半導体製造工場の急成長によって不足している米国内のシリコンウエハ供給に対処することが可能になるとしています。

今回の米国への投資は、2022年のCHIPS法による資金調達に加えて州や地方政府のインセンティブ、および米国の地元の顧客からの強力なサポートの結果として実現されたということです。

工場建設、製造装置の設置、顧客へのサンプル出荷、そして大量生産は今後2年以内に行われる予定です。工場は58ヘクタールの敷地に建設され、将来的な拡張にも十分なスペースを確保しているとしています。

コメント

グローバルウェーハズは信越化学、SUMCOに次ぐ世界3位のシリコンウエハメーカーです。
米国には有力なシリコンウエハメーカーはおらず、米国の半導体メーカーは日韓台からウエハを入手しているため、米国政府の意向もあって米国内のサプライチェーン強化の一端として今回の工場建設に至ったのでしょう。

基ニュース

グローバルウェーハズ:プレスリリース(12/1)

オンセミ新潟工場売却が完了し、JSファンダリが始動

オンセミは12/2、同社が保有していた新潟工場(新潟県小千谷市)を、日系ファウンドリ企業として設立されたJSファンダリへの売却が完了したことを発表しました。

今回の売却は、オンセミが推進するファブ・ライター(Fab Liter)戦略に沿ったもので、固定費削減をすることで粗利益率を向上させ、予測可能な財務実績の達成を目指すとしています。

新潟工場は、約16万㎡の敷地に約2万㎡のクリーンルームを有する中規模工場です。1984年に旧三洋電機(現パナソニック)が設立し、2011年にオンセミが買収しています。 2022年11月にマーキュリアインベストメント、産業創成アドバイザリー、福岡キャピタルパートナーズへの売却で合意していました。

JSファンダリは、日本政策投資銀行や伊藤忠商事が出資する投資ファンドであるマーキュリアホールディングスの中核子会社であるマーキュリアインベストメントや産業創成アドバイザリー、福岡キャピタルパートナーズらの提携によって設立されたファウンドリ専業企業です。

JSファンダリの代表取締役に就任した岡田憲明氏は「弊社はオンセミ新潟を母体とし、アナログ・パワー半導体のファンダリビジネスを専業とする会社になります。我々は単にファンダリビジネスを手掛けるというものではなく、現在脆弱化していると言われるアナログ・パワー半導体の国内サプライチェーンの強靭化、更には国内の研究・教育機関におけるアナログ・パワー半導体の研究・開発のご支援をする事により、日本の半導体発展に貢献する事を目的としております。」と述べています。

コメント

日系ファウンドリ企業が本格的に始動するようです。代表取締役に就任した岡田氏はラピスセミコンダクタ(旧沖電気の半導体部門で現在はローム傘下)のトップを務めた方でファウンドリ事業に精通されています。
今後新たに工場買収をするのか、どういった顧客を取り込んでいくのか興味が尽きません。

基ニュース

オンセミ:プレスリリース(12/2)

マーキュリアホールディングス:プレスリリース(12/2)

デンソー、半導体調達の専門部署を設置し車載半導体を確保へ

自動車部品大手のデンソーは12/5、半導体調達の専門部署を2023年1月1日付で新設すると発表しました。

自動車はCASE:Connected(コネクテッド)、Autonomous(自動運転)、Shared & Services(カーシェアリングとサービス/シェアリングのみを指す場合もある)、Electric(電気自動車)と呼ばれる性能向上に伴い、必要となる半導体数量が増えています。

そのため独立した調達専門部署を設置することで、外部メーカーからの半導体調達における戦略と機能を強化するとしています。 具体的には同社の調達グループ内に半導体調達部を新設し、同部にて半導体調達に関する業務を専門で担うことになります。所属する人数などは明らかにされていません。

コメント

デンソーは内製で半導体を製造していますが、外部からの調達量も大量にあると考えられます。昨今の半導体不足に起因した自動車製造の困難を解消するため、さらには今後より必要量が増加する半導体調達を強化するために専門部署が新設されるようです。
他の部品とは異なり半導体は製造期間が長く調達する側としては必要数量確保が難しいと思いますので、そのあたりのことをよく理解された方々に担ってもらいたいです。

基ニュース

デンソー:プレスリリース(12/5)

ラピダス、先端半導体の研究開発でimecと協業へ

次世代半導体の国産化を目指すラピダスは12/6、ベルギーに本拠を置く半導体の研究開発機関imec(アイメック)と研究開発で協業するための覚書(MOC)を締結したと発表しました。

今回の協業締結に伴い同日、経済産業省内で、ラピダス代表取締役社長の小池淳義氏とimecのプレジデント兼CEOであるLuc Van den hove(ルク・ファンデンホーブ)氏によるMOCの署名式が行われました。 署名式には西村経済産業省大臣とベルギー王国フランダース政府首相であるJan Jambon(ヤン・ヤンボン)氏も出席しました。

imecは1984年に設立された非営利の国際的な研究機関で、半導体や情報技術などの先端分野に関する共同研究プロジェクトを主導している。TSMCやサムスン電子をはじめとする半導体製造メーカーや半導体製造装置、材料メーカーなどが社員を派遣しています。

今回の覚書には以下の内容が盛り込まれています。

  • ラピダスとimecは先端的なナノエレクトロニクスプログラムのコアパートナーとなることを意図して、戦略的なパートナーシップを確立することを表明
  • 経済産業省とフランダース政府は、imecとラピダスの目標や取組を後押し
  • EUV露光技術をはじめとした重要な要素技術等に関する共同プロジェクトを実施
  • ラピダスは人材育成や、imecとの共同プログラムへの参加のためにimecに技術者を派遣する
コメント

ラピダスが目指すビヨンド2nmの半導体製造にはEUV露光装置技術が欠かせません。そして日本にはEUV露光装置が1台もありません。まずはその技術習得のために研究開発が進んでいるimecと協業し技術者を派遣することが必須です。
今回の協業は日本の半導体業界にとっても大きな意味があると言えそうです。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(12/6)

経済産業省:プレスリリース(12/6)

TSMC、アリゾナ工場への投資を400億ドルに増額へ

世界最大のファウンドリ企業である台湾TSMCは12/6、米国アリゾナ州に建設中の工場に対して投資を増額して3nmに対応する新工場を建設すると発表しました。

当初計画されていた第1ファブは2024年にN4プロセスの生産を開始予定です。今回追加された第2ファブは2026年に3nmプロセスの生産を開始予定ということです。

この2つのファブへの総投資額は約400億ドルとなり、アリゾナ州史上最大の海外直接投資になるとしています。 完成すればTSMCは直接雇用4500人と1万人のハイテク雇用を生み出し、年間60万枚以上のウエハを製造、最終製品は400億ドル以上の価値となると見積もられています。

また、この新ファブでは敷地内に産業用水の再利用プラントを計画していることも明らかにされ、このプラントが完成すれば液体排出をほぼゼロにすることが可能になるとしています。

TSMC会長であるMark Liu氏は、「TSMCアリゾナは、完成すれば米国で最も環境に優しい半導体製造工場となり、最先端の半導体プロセス技術を生産し、次世代の高性能および低電力コンピューティング製品を将来にわたって実現することを目指しています」とコメントしています。

コメント

過去にはアメリカへの工場建設に慎重な姿勢を示していたTSMCが今回投資を増額させて最先端の工場を建設することを発表しました。台湾に工場が集中する地政学リスクの顕在化とともにアメリカによる誘致支援の賜物でしょうか。
それにしても現在最先端工場を建設するのにこれほどまでに投資が必要だということがよくわかります。恐ろしい金額ですね。

基ニュース

TSMC:プレスリリース(12/6)

イビデン、岐阜県の新工場用地で起工式を実施

ICパッケージ基板大手のイビデンは12/12、岐阜県大野町の新工場用地で起工式を実施したと発表しました。

本工場用地は、岐阜県揖斐郡大野町が「大野神戸インターチェンジ周辺まちづくり整備事業」により整備を進めているもので、その中に約15万平方メートルの用地を取得しています。 イビデンの国内工場では最大となる見込みです。

具体的な生産品目、操業開始時期や規模などについては公表されておらず、2023年度より始動する新中期経営計画を支える主力工場として今後の市場成長が期待されるあらゆる分野を視野に入れて検討するとしています。

コメント

イビデンはICパッケージ基板やプリント配線板に強みを持つ企業です。半導体の高機能化に伴い、ICパッケージ基板も大型化・高多層化・微細化が求められており、そうした主力製品の生産能力増強のための工場が作られるのではないかと考えられます。

基ニュース

イビデン:プレスリリース(12/12)

ラピダス、先端半導体でIBMと共同開発パートナーシップを締結

次世代半導体の国産化を目指すラピダスは12/13、IBMと先端半導体の技術開発に向けた共同開発パートナーシップを締結したことを発表しました。

今回のパートナーシップの一環として、ラピダスはIBMの2nmノード技術の開発を推進し、ラピダスの日本国内の製造拠点に導入することを目指しています。

IBMは2021年5月に世界で初めて2nmプロセスのチップを開発したことを発表しています。このチップは、7nmプロセスのチップと比較して45%の性能向上、または75%のエネルギー効率向上の達成が見込まれます。 そしてラピダスの研究者と技術者は、世界最先端の半導体研究拠点の1つであるニューヨーク州アルバニーのAlbany NanoTech Complexで、IBMおよび日本IBMの研究者と協働する予定です。

ラピダスの小池社長は、「当社がIBMと2nmノードの共同開発のパートナーシップを締結したことを本日公式に発表できることを大変嬉しく思います。これは長年待ち望まれた国際連携であり、日本が半導体のサプライチェーンにおいて再び重要な役割を果たす上で真に不可欠なものです。この協業が、両者の共同開発技術で製造された先端ロジック半導体を通じて人類の幸福に貢献するという私たちの目標に向けた道を拓くものと確信しています」とコメントしています。

コメント

ラピダスは先日発表したimecとの協業に加えて、今回IBMとの共同開発を発表しました。小池社長がセミコンジャパンで述べられていた「日の丸半導体という言葉は好きではない、なんでも自分たちでできる時代は終わった」というコメントに表されている国際的なコラボによって量産技術開発を進める方針がよく分かります。ラピダスのホームページでは人材の募集も始まっています。今後の動向にも目が離せないです。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(12/13)

日本IBM:プレスリリース(12/13)

セミコンジャパン2022開催、岸田首相が開会式であいさつ

半導体の技術、装置、材料に関する国際展示会であるセミコンジャパン2022(主催:SEMIジャパン)が12/14から16の3日間、東京ビックサイトで開催されました。

開会式では岸田文雄首相があいさつに登壇し、「半導体業界に攻めの国内投資拡大を支援する」と述べ、半導体業界にかける期待を表明。セミコンジャパンに首相が登壇するのは初めてのことです。

今回は600を超える企業、団体が出展し、多くの方が訪れ盛況でした。 半導体の後工程と呼ばれるパッケージングや実装分野の最新技術展示と、国内外キーパーソンによる講演、ネットワーキング・イベントを組み合わせたAPCS(Advanced Packaging and Chiplet Summit)というイベントも同時開催されました。

次回の2023年は12/13から15の3日間で開催される予定です。

コメント

セミコンジャパンは私も参加して色々なお話が聞け、勉強になりました。参加レポート動画を作成していますので、興味のあるかたはぜひともご覧ください。
来年も参加する予定です。

基ニュース

SEMIジャパン:ホームページ

東芝、姫路工場内にパワー半導体の後工程工場を新設へ

東芝デバイス&ストレージは12/19、姫路半導体工場(兵庫県揖保郡太子町)構内に車載向けパワー半導体の後工程製造棟を新設すると発表しました。

新製造棟は2024年6月に着工し2025年春に稼働開始予定であり、今回の投資により同工場の車載向けパワー半導体の生産能力を2022年度比200%以上に増強するとしています。 姫路半導体工場は1982年に設立された工場で、パワー半導体や小信号デバイスなどのディスクリート半導体を製造しています。

今回の投資について同社は、「パワー半導体は、電力を供給・制御する役割を持ち、あらゆる電気機器の省エネルギー化に不可欠なものとなっています。特に当社が注力する低耐圧MOSFETは、今後も自動車の電動化や産業機器の自動化などによる継続的な需要拡大が見込まれていることから、今回の投資を決定した」と説明しています。

同社では加賀東芝エレクトロニクスに300mmライン工場を建設中です。前工程の生産能力増強に合わせて後工程も増強する模様です。

コメント

東芝がパワー半導体への投資を加速しています。既に公表されている前工程の300mm工場建設によってウエハの生産能力が増強されますので、パッケージ化する後工程でも対応を図っているようです。
これまで後工程は東南アジアを中心とした海外拠点で実施されることが多いですが、今回は国内拠点で増強されるようです。ロイター通信では、東芝の広報担当者は今回の決定について「国内の顧客からの信頼にこたえるには、日本国内でつくったほうがいいという判断」としています。

基ニュース

東芝:プレスリリース(12/19)

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