【半導体業界ニュース】2024年1月のニュースを10本厳選してご紹介!

当ページのリンクには広告が含まれています。

2024年1月に半導体業界で生じたニュースを10本ご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2024年1月号

2024年1月末時点の世界半導体市場と株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2024年1月号

令和6年能登半島地震北陸に生産拠点を置く各社が被災(第1報)

2024年1月1日午後4時10分頃、石川県能登地方を震源とするマグニチュード7.6、最大震度7の地震が発生しました。

この地震によって、北陸地方に半導体工場を持つ東芝デバイス&ストレージ(加賀東芝エレクトロニクス)やサンケン電気(石川サンケン)、タワーセミコンダクター(TPSCo)、KOKUSAI ELECTRICは被害状況について発表しました。

東芝デバイス&ストレージ

事業活動の影響について(第1報)

  • 東芝デバイス&ストレージグループでは、同地震発生直後に当社本社(神奈川県川崎市)に災害対策本部を立ち上げ
  • 加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)では、当日出社していた従業員については、全員の無事を確認
  • 安全確認のため、地震発生直後より操業を停止し、インフラ、生産工程・装置の状況について確認中 生産再開の時期については、決定し次第、速やかに発表予定

サンケン電気

令和 6 年能登半島地震の影響について(第一報)

  • 石川サンケンの生産拠点である堀松工場、志賀工場(いずれも石川県羽咋郡志賀町)、能登工場(石川県鳳珠郡能登町)では生活インフラの被害が大きいことから、状況調査に一定の時間を要する
  • 状況が判明次第、速やかに発表予定

タワーセミコンダクター

  • TPSCo(タワー パートナーズ セミコンダクター)の生産拠点である砺波工場(富山県砺波市)、魚津工場(富山県魚津市)では、従業員全員の無事を確認
  • 建屋への影響や被害はなく、製造工場の損壊も軽微であり、オペレーションへの影響はなし

KOKUSAI ELECTRIC

令和6年能登半島地震による影響について

  • 富山県内に富山事業所及びグループ会社拠点があり、従業員・家族全員の無事を確認
  • 製造・開発の中枢である富山事業所では、甚大な被害はないが施設の天井パネル、壁材、空調配管などに部分的な被害があり、安全確認、清掃、補修などを行う必要があるため、通常業務は1月9日より順次開始する計画
コメント

元日に日本全土を襲った地震には驚きました。被災されました方々に、心よりお見舞い申し上げます。北陸地方にある半導体関連の生産工場への影響も懸念されます。特に震源地に近い立地である石川サンケンの各工場が気掛かりです。

基ニュース

東芝:第1報(1/2)

サンケン電気:第一報(1/2)

タワーセミコンダクター:プレスリリース(1/2)

KOKUSAI ELECTRIC:第1報(1/4)

令和6年能登半島地震、各社の被害状況が徐々に明らかに(第2報以降)

東芝デバイス&ストレージ

事業活動の影響について(第2報)

  • 派遣社員を含む従業員については、全員の無事を確認
  • 建物については、操業再開に支障を及ぼすような破損がないことを確認
  • クリーンルームの排気配管が広範囲にわたり破損しており、その修復に最優先で実施中
  • 一部の生産工程については、1/10の操業再開を目指して復旧を進めている状況

事業活動の影響について(第3報)

  • 引き続きクリーンルームの排気配管の修復を最優先で取り組む
  • 製造装置については、石英等の破損が確認され、手配・修理・交換を進めている
  • 被害の小さかった一部生産工程について、1/9より操業再開

サンケン電気

令和 6 年能登半島地震の影響について(第二報)

  • 特に大きな被害があった石川地区に担当役員を派遣し、情報収集中
  • 現地では余震が継続する状況および道路網の寸断や通信インフラ障害がある中、確認作業には時間がかかる状況

令和 6 年能登半島地震の影響について(第三報)

  • 従業員等の安否確認を進めているが、まだ全員の安全が確認できていない
  • 建物の倒壊はないが、被害状況及び生産設備への影響については継続して調査中
  • 志賀工場は停電状態にあり、電力会社と復旧に向けて協議中

令和 6 年能登半島地震の影響について(第四報)

  • 従業員等の安否未確認者は数名となったが、全員の安全が確認できるまで継続する
  • 出勤可能者による復旧活動がを3工場とも開始
  • 建物については、専門家による一次診断では大きな問題はなし、工業用水確保の確認を行う

令和 6 年能登半島地震の影響について(第五報)

  • 石川サンケン株式会社の従業員の安否確認が完了

令和 6 年能登半島地震の影響について(第六報)

  • 工場について一部建物に対する安全確認を継続中
  • 石川サンケンの3工場の生産設備について出勤可能な従業員とサンケン電気本社、グループ各社からの応援人員による確認作業を継続中
  • 工業用水確保について水インフラの復旧に向け各自治体との連携を継続中
  • 志賀工場の停電は続いているが、電力インフラの復旧に向け電力会社との連携、外部からの電源供給を検討中

令和 6 年能登半島地震の影響について(第七報)

  • 一部の建物に対する専門的な安全確認は、一週間以内に完了予定
  • 生産設備について各装置の確認作業が進み、一部の生産ラインは立ち上げの調整段階
  • 工業用水については、水インフラの復旧エリアが順次拡大中
  • 志賀工場における電力確保については、電力会社との連携・協議を継続中

令和 6 年能登半島地震の影響について(第八報)

  • 水は上下水道の一部復旧、給水車によって対応できる見込み
  • 停電が継続していた志賀工場の電力復旧
  • 志賀工場の生産品の一部を堀松工場にて代替生産する

KOKUSAI ELECTRIC

令和6年能登半島地震による影響について(第2報)

  • グループ会社拠点および建設中の砺波事業所(仮称)に大きな被害なし
  • サプライヤーには少数ながら大きな被害が生じている企業があるが、現時点で充分な在庫量を保有しており、代替調達が可能であることから、事業活動に支障は生じない見込み
  • 富山事業所を中心とする物流網についても、大きな支障がないことを確認
コメント

東芝とKOKUSAI ELECTRICは一部に被害があるものの、復帰に向けて進みだしているようです。ただサンケン電気は相当な被害を受けている模様です。従業員の安否確認は完了したようですが、他社のように全員無事とはいかないと思われます。

基ニュース

東芝:第2報(1/5) 第3報(1/9)

サンケン電気:第二報(1/4) 第三報(1/5) 第四報(1/8) 第五報(1/9) 第六報(1/12) 第七報(1/17) 第八報(1/22)

KOKUSAI ELECTRIC:第2報(1/9)

東芝、能登半島地震被災前の生産レベル復帰は2月上旬

東芝は1/12、令和6年能登半島地震における事業活動への影響について第4報を発表しました。

石川県能美市の加賀東芝エレクトロニクスの現状と今後の計画は以下の通りです。

  • 主力ラインに必要な石英については、必要数量をほぼ確保
  • 引き続き全数量の確保に努める
  • 被災前の生産能力に近いレベルへの復帰時期を2月上旬目標と定め、引き続きクリーンルームの排気配管の修復、装置立ち上げを進める

さらに1/19に第5報、そして1/26に最終報となる第6報を発表しました。それらによりますと、

  • 排気配管の修復などは完了
  • 主力ラインの稼働を順次再開、2月上旬の被災前の生産能力に近いレベルへの復帰を目指す
  • 他のラインも順次稼働を再開

となっており、想定よりも早い復旧ができる見込みです。

コメント

およそ1か月程度で被災前の生産能力に復帰させる計画です。石英部品は自社で持っている在庫では足りないと思われますので、メーカーや他社からの協力を得てかき集めていると想定されます。新工場も建設中ですし、一刻も早く復帰できることを願います。

基ニュース

東芝:第4報(1/12) 第5報(1/19) 第6報(1/26)

ルネサス、米国GaNパワー半導体メーカーのTransphorm社を買収

ルネサスエレクトロニクスは1/11、米国のGaN(窒化ガリウム)パワー半導体メーカーであるTransphorm(トランスフォーム)を買収すると発表しました。

買収金額は約3億3,900万ドル(約492億円)、2024年下半期に買収を完了させ、完全子会社とする計画です。

Transphormは、米国カリフォルニア州ゴレタに本社を置き、創業は2007年のGaNパワー半導体メーカーです。2014年に富士通セミコンダクターのGaNパワー半導体事業を統合しており、本社があるゴレタと福島県会津若松市に製造拠点を持っています。

この買収によってルネサスはTransphormのGaN技術を獲得し、ポートフォリオを拡充するとしています。

GaNは、より高いスイッチング周波数、より低い電力損失、そしてより小さい形状を実現し、顧客のシステムコストを低減しながら、高効率化、小型化、軽量化が可能となるため、今後市場が年率50%以上成長するという予測もあります。

コメント

ルネサスが買収によってGaN技術を獲得します。これまでも企業買収によって事業拡大とポートフォリオ拡充を進めてきましたが、ここにGaNが加わる形です。パワー半導体では甲府工場にSiの300mmラインを構築中で、SiCでもウルフスピードからウエハの長期契約を結んでいます。ここにGaNが加わることで全方位的になる見込みです。

基ニュース

ルネサスエレクトロニクス:プレスリリース(1/11)

富士通ゼネラル、パワーモジュールの生産拠点を拡大へ

富士通ゼネラルグループの電子デバイス事業を担う富士通ゼネラルエレクトロニクスは1/12、パワー半導体の需要拡大を見据え、パワーモジュールの増産と安定供給に対応すべく生産拠点を拡大すると発表しました。

大分県大分市にある大分デバイステクノロジーを協力工場とし、工場内に新たな生産ラインを開設するということです。

今回新設する生産ラインでは、主に家電や産業機器向けの中電力容量帯のパワーモジュールを取り扱い、生産台数は月産6万台となっています。2024年4月からの本格稼働を目指して量産試作と評価が進められています。加えて岩手県一関市にある富士通ゼネラルエレクトロニクス本社工場では、今後マザー工場としての機能強化を進める計画です。

今後は、さらなる生産拠点拡張の検討、富士通ゼネラルの空調機に搭載するパワーモジュールについても内製化を加速させていく予定としています。

コメント

富士通ゼネラルはその名の通り、富士通グループの企業で、冷暖房や空調機器を取り扱う電機メーカーです。今回はパワーモジュールの拠点拡大と増産ですので、いわゆる後工程に該当します。地理的に離れた複数の生産拠点を持つということはBCPの観点からも重要です。

基ニュース

富士通ゼネラル:プレスリリース(1/12)

富士フイルム、先端半導体材料生産のため熊本拠点に60億円設備投資

富士フイルムは1/15、イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産能力を増強するため、熊本拠点に約60億円の設備投資をすると発表しました。

今回の投資は、電子材料事業の中核会社である富士フイルムエレクトロニクスマテリアルズが、熊本県菊池郡菊陽町に立地する生産子会社である富士フイルムマテリアルマニュファクチャリングに、イメージセンサー用カラーフィルター材料の生産設備を導入するものです。 この設備は、2025年春の稼働を予定しています。

イメージセンサーは、光を電気信号に変えて映像化する半導体で、デジタルカメラやスマートフォンなどに搭載されています。近年、自動車やセキュリティ機器などへの用途がますます広がる中、イメージセンサー市場は年率約7%で成長することが見込まれています。

富士フイルムは、イメージセンサー用カラーフィルター材料を静岡と、台湾の新竹で生産しています。また、韓国(平沢)でも同製品の工場の建設を進めるなど、生産拠点を拡充しています。 今回は熊本拠点にクリーンルームを設置して、そこに最先端の検査機器を導入し、品質保証体制を構築するとともに静岡拠点と同様の生産・品質保証体制とし、BCP対応をさらに強化することで、より安定的な供給を実現するとしています。

今後は事業成長を加速させ、2030年度には電子材料事業で5,000億円の売上を目指す計画です。

コメント

富士フイルムはカメラや医療機器が有名ですが、フォトレジストやスラリーなどの半導体材料も手掛けています。今回の投資によってイメージセンサー用カラーフィルター材料において世界4拠点の生産体制を敷くことになり、BCP対策と事業拡大をするようです。

基ニュース

富士フイルム:プレスリリース(1/15)

Synopsys、Ansysを約350億ドルで買収へ

EDA大手の一角であるSynopsysは1/16、シミュレーションソフトウェアなどを手掛けるAnsysを約350億ドルで買収すること発表しました。

Synopsysは、現金と株式交換によってAnsys株式を1株390.19米ドルで買収します。総額は約350億ドルで日本円換算ではおよそ5.1兆円になります。

今後Ansys株主の承認や規制当局の承認などを経て、2025年上半期に完了する予定です。

SynopsysはEDA大手の中の一社で、半導体設計用のツールを長年提供しています。Ansysはシミュレーションツールを手掛けており、半導体設計の分野でも活用されています。

コメント

EDAとはElectronic Design Automationの頭文字を取ったもので半導体設計には欠かせないツールです。今回のSynopsys、Cadence Design Systems、Siemens EDA(旧Mentor)が大手3社と言われています。Synopsysは自社のEDAにAnsysのシミュレーション機能を組み合わせることでより強力なツールを提供できるようにする見込みです。3D化などによって半導体の設計は今後より一層複雑になる見込みです。そうした中で解析などのさまざまなシミュレーションがより重要になると考えられ、そうした中でSynopsysの優位性が向上する可能性があります。

基ニュース

Synopsys:プレスリリース(1/16)

SCREEN、半導体製造装置の新工場S3-5が完成

SCREENホールディングスは1/17、彦根事業所の敷地内において2023年2月より進めていた半導体製造装置の新工場S3-5(エス・キューブ ファイブ)の建設を終え、操業を開始したと発表しました。

S3はSafety、Smart、Speedの頭文字を取って付けられた造語で、新工場S3-5では主力製品である枚葉式洗浄装置の生産などを担います。

今回設置する全てのクリーンルームに省エネルギー対応の空調設備を導入するなど、生産設備の環境負荷低減に向けた取り組みについても継続して進めていくとしています。

コメント

今回の新工場であるS3-5によってSCREENの半導体製造装置事業は生産能力を2割向上させることになる見込みです。日本や世界では半導体工場の新設や投資が続いていますので、SCREENの主力である洗浄装置についても引き続き引き合いが強いものと想定されます。

基ニュース

SCREENホールディングス:プレスリリース(1/17)

ラピダス、北海道千歳市に本社の出先機関としての千歳事務所を開所

ラピダスは1/22、北海道千歳市に本社の出先機関として千歳事務所を開所したと発表しました。

同社では2023年9月から、北海道千歳市に国内初となる2nmノード以下の最先端ロジック半導体を製造する工場であるIIM(イーム:Integrated Innovation for Manufacturing)を建設しており、その工事進捗に伴い、千歳事務所を新設することにしたとしています。

同事務所は、北海道における窓口として、地元企業との面談や、総務・採用関連などに関しての業務を行う予定です。

コメント

同社の工場建設は順調に進んでいるようです。当面のスケジュールでは、2025年4月にパイロットラインの稼働となっていますので、今後も引き続き注目していきます。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(1/22)

NIMS、世界初のn型チャネルダイヤモンドMOSFETを開発

NIMS (国立研究開発法人物質・材料研究機構)は1/25、世界で初めてとなるダイヤモンドのn型チャネル動作によるMOSFETを開発したと発表しました。

ダイヤモンド半導体は、高い絶縁耐圧や高速スイッチングなどの優れた特性をもっており、高温や高放射線被曝環境 (原子力発電の炉心近傍等) などの極限環境で動作させることが原理的に可能な半導体材料です。

その利点を生かして、パワー半導体としてや、環境安定性に優れた制御系の集積回路に利用するため、CMOS回路の実現が期待されています。 CMOS構造にはp型とn型の導電性チャネル形成が必須になりますが、これまでダイヤモンド半導体ではn型チャネルを持つMOSFETが実現できていませんでした。

今回、NIMSの研究チームは高品質単結晶n型ダイヤモンド半導体成長技術をベースに、n型チャネルダイヤモンドMOSFETを開発に成功しました。低濃度のリンをドープしたn型ダイヤモンドの結晶成長に成功し、これをチャネル層に用いたMOSFET構造において、高濃度でリンをドープしたダイヤモンドをソースおよびドレインのコンタクト層として使用することで接触抵抗を大幅に低減し、n型チャネルのトランジスタ特性を確認したということです。

コメント

ダイヤモンド半導体ではパワー半導体の材料としての研究開発が注目されていますが、今回はn型のMOSFET開発です。これによってp型とn型がそろいCMOS回路の形成が可能となりました。CMOS回路は集積回路の基本構造と言っても過言ではないものですので、これを作るれるということは意義深い研究結果と言えます。

基ニュース

NIMS:プレスリリース(1/25)

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
目次