【半導体業界ニュース】2024年3月のニュースを10本厳選してご紹介!

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2024年3月に半導体業界で生じたニュースを10本厳選してご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2024年3月号

2024年3月末時点の世界半導体市場と株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2024年3月号

ルネサス、インド・タイ企業と共同でインドにOSAT工場建設へ

ルネサスエレクトロニクスは3/1、インドのTube Investments of India LimitedおよびMurugappa Groupの傘下企業であるCG Power and Industrial Solutions Limited(CG社)とタイのStars Microelectronics(Thailand) Public Co. Ltd(Stars Microelectronics社)の3社で半導体後工程の組立・テストを請け負うOSAT工場をインドにて構築・運営する合弁会社設立のため、合弁契約を締結したと発表しました。

今回の合弁会社は、インド政府が掲げる施策「Make in India for the World 」のもと、86年にわたる製造業の知見を有するCG社がインド国内の半導体製造能力の向上とエコシステムの構築を目指し、ルネサスは先端半導体技術やその知見を提供し、タイのStars Microelectronics社は、従来型パッケージ技術やトレーニング・人材育成プログラムなどを提供するとしています。

出資比率はCG社が92.3%、ルネサスが6.8%、Stars Microelectronics社が0.9%となっており、合弁会社は今後5年間で760億インドルピーを投資する計画です。

インド・グジャラート州サナンドに最先端のOSAT工場を設立し、1日当たり1,500万個の生産能力を有する工場へと増強する予定としています。

コメント

ルネサスがインドにおける後工程工場建設を現地企業と合弁で進めるようです。柴田CEOは「今後もインドへの投資を加速する」とコメントしていますので、将来的には前工程工場もと想像してしまいますが、どうなのでしょうか。

基ニュース

ルネサスエレクトロニクス:プレスリリース(3/1)

TOPPAN、シンガポールにFC-BGA基板生産拠点を新設へ

TOPPANは3/14、シンガポールに高密度半導体パッケージであるFC-BGA(Flip Chip Ball Grid Array)基板の生産拠点を新設し生産能力を拡大することを発表しました。

FC-BGA基板は、LSIチップの高速化、多機能化を可能にする高密度半導体パッケージ基板です。

同社では、FC-BGA基板の生産拠点である新潟工場で生産能力の拡大を進めているとのことですが、パッケージ基板の大型化に伴う製造負荷は大きく、将来の需要増に対応するためにはさらなる生産能力の拡大が必要であり、BCP(事業継続計画)の観点からも、複数拠点での生産体制が求められていました。

今回のシンガポール拠点新設によって事業継続性を向上させるとともに、グローバルな供給体制を構築、さらに2027年度までにFC-BGA事業で2022年度対比で2.5倍以上の生産能力拡大を目指すとしています。

コメント

半導体需要の高まりとともに基板の需要も拡大しています。今回海外に生産拠点を設けることでBCPの観点ではリスクの分散が大きく図られることになります。同社では昨年末にJOLEDの旧能見事業所建屋も取得しており、こちらでもFC-BGA基板などの生産が予定されており、将来的には3拠点になるようです。

基ニュース

TOPPANホールディングス:プレスリリース(3/14)

産業革新機構、JSRへのTOBを開始へ

産業革新機構(JIC)は3/18、JSRへのTOB(株式公開買付)を3/19から開始すると発表しました。

買付期間は3/19から4/16の20営業日、買付価格は1株につき4,350円で、買付総額はおよそ9,000億円になる見込みです。

JSRでは2023年6月に開催された取締役会で決議されており、2024年3月に実施された取締役会でも改めて公開買付に対する賛同の意思表明がなされています。

コメント

産業革新機構によるJSRへのTOBがいよいよ開始となりました。当初は2023年12月頃となっていましたので、予定よりは遅くなりましたが、4月中ごろには成立となると思われます。

基ニュース

産業革新機構:プレスリリース(3/18)

JSR:プレスリリース(3/18)

TSMC、日本に先端パッケージの後工程拠点を検討か

ロイター通信は3/18、TSMCが先端パッケージ生産拠点を日本国内に設けることを検討をしていると報道しました。

AI向け半導体における需要の急増で、TSMCは後工程の処理能力が不足しており、半導体製造装置、材料メーカーが集積する日本を候補として考えているということです。

報道によりますと、TSMCは「CoWoS(チップ・オン・ウェーハ・オン・サブストレート)」という同社独自のパッケージング工程を日本に導入することを選択肢の1つに入れているということです。

TSMCは先端パッケージの研究開発拠点として、2022年6月に茨城県つくば市に3DIC研究開発センターを開設しています。

コメント

あくまでもロイター通信による報道ベースですが、TSMCが日本国内に後工程拠点を設けるようです。正式に決まればTSMCから発表されるはずですので、それを待ちたいと思います。

基ニュース

ロイター通信:報道記事(3/18)

インテル、米国政府から最大85億ドルの補助金を獲得

インテルは3/20、CHIPS法に基づき米国政府から半導体の生産能力拡大に最大で85億ドル(約1兆2750億円)を獲得したことを発表しました。

今回提案された資金は、インテルが世界最先端のチップや半導体パッケージング技術の多くを開発、生産しているアリゾナ、ニューメキシコ、オハイオ、オレゴンの拠点での半導体製造と研究開発プロジェクトの推進に使用される見込みです。

また、この最大85億ドルにのぼる直接の資金提供に加え、最大110億ドルの融資を受ける予定としています。 同社では今後5年間で1000億ドルを超える米国国内への投資計画を明らかにしています。

コメント

CHIPS法によるインテルへの補助金が正式に決まったようです。今年秋の大統領選挙で再選を目指すバイデン大統領にとって米国国内の製造業を後押しする狙いもあるようです。今後他社への助成も決まってくることでしょう。

基ニュース

インテル:プレスリリース(3/20)

近大、産業理工学部に半導体エレクトロニクスコースを設置

近畿大学は3/22、産業理工学部(福岡県飯塚市)の電気電子工学科に半導体に関する高度な知識や技術を持った人材を育成するため、24年度から「半導体エレクトロニクスコース」を設置すると発表しました。

同学科では、これまで学部の3年次以降に3つのコース(応用エレクトロニクスコース、エネルギー・環境コース、情報通信コース)から1つを選択し、専門性の高い内容を学ぶカリキュラムでした。 今回、応用エレクトロニクスコースを廃止し、半導体エレクトロニクスコースを設置するコース名称の変更ということです。

半導体エレクトロニクスコースの設置に伴って半導体工学や集積回路工学などの座学を必修科目とし、グローバル化に対応するためテクニカル英語演習の科目を開講。さらに、簡易的なイエロークリーンブースやフォトリソグラフィ装置などを備えた半導体デバイス製造実習室を整備、実習授業「半導体デバイス製造工程」を開講するとしています。座学で製造工程を学ぶだけでなく、半導体デバイスを学生自身の手で製作することで、半導体の生産現場で活躍する技術者を育成するとのことです。

コメント

半導体関連の座学での授業はこれまでもあったと思いますが、簡易的なものであっても実習ができる施設が設けられた点は大きいのかなと思います。やはり体験することが一番の学びになりますし、座学の授業で習う内容も少しはイメージが付くようになります。他の大学などでも広まってほしいですね。

基ニュース

近畿大学:プレスリリース(3/22)

日本経済新聞社、日経半導体指数の算出・公表を開始

日本経済新聞社は3/25、東京証券取引所に上場する主要な半導体関連銘柄で構成される日経半導体指数の算出と公表を開始したと発表しました。

日経半導体指数は東京証券取引所に上場する30銘柄で構成されており、2011年11月末時点を基点(1,000)として算出されています。 3/25時点では11,531.65となっています。

コメント

国内企業の半導体関連銘柄で構成される指数が始動しました。半導体関連銘柄への注目度が増している証と言えます。2011年11月を基点としており、同期間で日経平均と比較しますと大きく伸びています。過去から未来がわかるわけではありませんが、今後にも期待をしたいですね。

基ニュース

日本経済新聞社:プレスリリース(3/25)

大日本印刷、2nm世代向けフォトマスク製造プロセス開発を開始

大日本印刷は3/27、半導体製造の最先端プロセスのEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィに対応した2nm世代のロジック半導体向けフォトマスク製造プロセスの開発を本格的に開始したと発表しました。

同社は今回、ラピダスが参画している国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業」に再委託先として参画し、本製造プロセスおよび保証にかかわる技術を提供するということです。

今後2025年度までに、EUVリソグラフィに対応した2nm世代のロジック半導体向けフォトマスクの製造プロセスの開発を完了し、2026年度以降は、2027年度の量産開始に向けて、生産技術の確立を進めていくとしています。

コメント

今回はラピダスが量産化を目指している2nm世代向けのフォトマスク開発ということですが、大日本印刷では2nm世代以降も見据えた開発にも着手をしているということで、imecと共同開発に関する契約を締結したということです。プロセス開発に注目がされますが、こうした周辺技術開発も重要な項目ですね。

基ニュース

大日本印刷:プレスリリース(3/27)

ソニー、タイのイメージセンサ後工程新棟が稼働

ソニーセミコンダクタソリューションズは3/28、タイの半導体製造事業所敷地内に建設を進めてきた新棟において、2024年2月より生産ラインの稼働を開始し、竣工式を開催したと発表しました。

ソニーデバイステクノロジー(タイランド)はイメージング&センシング・ソリューション事業の後工程を担う生産拠点です。 今回の新棟は、同事業所における「4号棟」として、車載用イメージセンサーやディスプレイデバイス、そしてデータセンター向けの半導体レーザーなどの生産活動を行うとしています。

コメント

ソニーが主力のイメージセンサ後工程における生産能力を拡大しています。前工程は熊本を中心に国内での投資が続いていますが、海外の後工程も同様の動きのようです。

基ニュース

ソニーセミコンダクタソリューションズ:プレスリリース(3/28)

ローム、東芝の半導体事業と業務提携強化に向けて協議開始

ロームは3/29、日本産業パートナーズへ同社と東芝の半導体事業との業務提携強化に向けた協議を開始する旨を提案したと発表しました。

日本産業パートナーズは23年に約2兆円で東芝への株式公開買付を実施しており、ここにはロームをはじめとする国内企業約20社が出資をしております。

ロームと東芝の半導体事業は、23年12月に経済産業省から最大1294億円の支援を受け、パワー半導体製造で連携すると発表しています。 今回はこの製造連携に加えて技術開発や販売、調達、物流など半導体事業全般での業務提携の強化を目指すものとしています。

コメント

ロームと東芝の半導体事業における業務提携強化について具体的に動き出したようです。もちろん水面下ではこれまでも進んでいるとは思いますが、今後正式に発表される内容に注目していきたいです。

基ニュース

ローム:プレスリリース(3/29)

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