【半導体業界ニュース】2024年5月のニュースを11本厳選してご紹介!

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2024年5月に半導体業界で生じたニュースを11本厳選してご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2024年5月号

2024年5月末時点の半導体関連株式市場推移

動画で説明:半導体関連企業決算まとめ

半導体メーカー編

半導体製造装置メーカー編

半導体材料メーカー編

各ニュース記事:半導体業界ニュース2024年5月号

ミネベアミツミ、日立のパワー半導体事業買収が完了

ミネベアミツミは5/2、日立製作所の子会社である日立パワーデバイスの株式取得及び日立製作所グループのパワーデバイス事業に関する海外販売事業を譲り受けが完了し、日立パワーデバイスの名称をミネベアパワーデバイスに変更したと発表しました。

本件は2023年11月、ミネベアミツミが日立のパワー半導体事業を買収すると発表していた内容です。

同社では、超精密加工技術や大量生産技術等の当社の強みを発揮でき、且つ簡単に無くならない製品をコア事業「8本槍」として位置付けており、パワー半導体も手掛けるアナログ半導体事業はこの8本槍の一つです。

IGBTをはじめとするパワー半導体領域において、今後も更なる事業拡大を目指し、半導体事業における売上高を800億円規模から2030年度にはM&Aも含めて3,000億円への成長を目標としているとのことです。

コメント

ミネベアミツミにおける日立のパワー半導体事業買収が完了しました。同社ではこれまでもそうですが、今後もM&Aを通じて半導体の事業拡大を目指すとしていますので、今後も同社の動きには要注目ですね。

基ニュース

ミネベアミツミ:プレスリリース(5/2)

インテルと国内14社、SATASを設立し後工程を自動化へ

インテルを中心に国内の半導体製造装置メーカーら計15の企業と団体が、半導体製造のパッケージング・アセンブリやテスト工程のいわゆる後工程のトランスフォーメーションおよび完全自動化を目的とする「半導体後工程自動化・標準化技術研究組合(SATAS)」を4/16に設立したと5/7に発表しました。

SATASは今後、後工程自動化に必要な技術およびオープンな業界標準仕様の作成、装置の開発と実装、統合されたパイロットラインでの装置の動作検証を行い、2028年の実用化を目指すとしています。

参加する企業と団体は下記の通りです。

  • インテル
  • オムロン
  • シャープ
  • 信越ポリマー
  • シンフォニアテクノロジー
  • セミ・ジャパン
  • ダイフク
  • 平田機工
  • FUJI
  • 三菱総合研究所
  • ミライアル
  • 村田機械
  • ヤマハ発動機

半導体は昨今、経済安全保障推進法上の「特定重要物資」と位置付けられ、半導体業界に関わる企業は、様々な地政学的リスクを踏まえ、より強靭なサプライチェーンの構築に向けた柔軟な対応が求められています。

今後より一層の成長が期待されるAI分野において、半導体の更なる微細化技術とともに、より高度なパッケージング技術の進化が期待されています。これらをよりサスティナブルな方法で実現するために、半導体製造の後工程工場における自動化が急務となっています。

そのためSATASでは、半導体メーカーや半導体製造装置や自動搬送装置メーカーなどが中心となり、後工程の自動化に必要な技術を開発し、標準化を目指すことで、従来の半導体製造にトランスフォーメーションを促し、より効率的かつサスティナブルで柔軟なサプライチェーンの実現を目指すことを目標に掲げています。

コメント

後工程の自動化を目指す研究組合がインテルを中心として設立されました。詳細はまだまだこれからのようですので、今後さらに参加する企業があると考えられますので、動向に注目していきたいと思います。

基ニュース

半導体後工程自動化・標準化技術研究組合:プレスリリース(5/7)

ホンダ、IBMと次世代半導体・ソフト技術の共同開発に関する覚書を締結

ホンダは5/15、将来的なSDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の実現に向け、処理能力や消費電力などにおける半導体設計の複雑化などの課題を解決するためにIBMと次世代半導体・ソフトウェア技術の長期的な共同研究開発に関する覚書を締結したと発表しました。

SDVとは

自動車と外部との間で双方向通信機能を使い自動車を制御するソフトウェアを更新することで、自動車の販売後でも機能を追加したり、性能を高めることができる自動車

同社では2030年以降、社会全体で知能化やAI技術の活用が大きく加速し、モビリティにおいてもこれらを用いたSDVが主流になると見込んでいます。SDVでは従来の自動車と比較して求められる処理能力や、それに伴う消費電力の飛躍的な高まりに加え、半導体設計の複雑化が予測されるとしています。

そのため、両社はこれらの課題を解決し、競争力の高いSDVを実現するために、次世代の半導体やソフトウェア技術を自ら研究・開発する力を手に入れることが重要であるとの認識に基づき、覚書の締結をしました。この協業を通じて、世界最高レベルの処理速度と省電力性能を備えたSDVの実現を目指すとしています。

コメント

自動車は既に半導体が多用されていますが、今後より高度化するためにも半導体とソフトウェアの高度化が欠かせません。ホンダはこの点をIBMと組むことで解決させようとしているようです。

基ニュース

本田技研工業:プレスリリース(5/15)

ラピダス、エスペラントと低消費電力AI半導体開発で協力覚書を締結

ラピダスは5/15、RISC-Vベースのコンピューティング・ソリューションを開発するエスペラント・テクノロジーズと本格的なAI時代の到来で必須となる低消費電力のデータセンター向けAI半導体の開発・製造を推進するための協力覚書を締結したと発表しました。

エスペラント・テクノロジーズは、米国カリフォルニア州に本社を置くファブレス企業で、RISC-V命令セット・アーキテクチャをベースに、人工知能/機械学習のための高性能なコンピューティング・ソリューションを開発しています。

生成AIに代表される本格的なAI時代の到来を迎える中、データセンターの消費電力量が増加しています。AIで文章や画像を自動生成するために大量のデータを機械学習する必要があり、そのために大量の電力が必要となっています。国際エネルギー機関によりますと、世界のデータセンターでは、生成AIなどの影響で電力需要が伸びており、2026年には日本全体の総電力消費量に匹敵する約1,000TWhに達する可能性があるとされています。

こうした状況下でエスペラント・テクノロジーズは、生成AI、HPC、エッジデバイスなど様々な分野で消費電力性能に優れた製品開発を行っており、ラピダスとの協業による次世代半導体の設計・製造によって、AI時代に即したエネルギー効率に優れた製品開発を目指すとしています。

コメント

ラピダスの協業先が追加されました。ラピダスでは2025年4月のパイロットライン稼働を目指しておりますので、進捗を引き続き注目して見ていきたいと思います。

基ニュース

ラピダス:プレスリリース(5/15)

JSR、半導体用高純度液体材料を手掛けるヤマナカヒューテックを買収

JSRは5/16、半導体用高純度液体材料の製造販売を行うヤマナカヒューテック株式会社の全株式を取得し完全子会社化することで同社と合意し、2024年5月15日に株式譲渡契約を締結したと発表しました。

半導体デバイス構造の具現化には、緻密な膜を高度に制御して形成するCVD(Chemical Vapor Deposition)とALD(Atomic Layer Deposition)技術が必要不可欠であり、素材であるCVD/ALDプリカーサー(化合物)の重要性が極めて高まっています。

ヤマナカヒューテックは高品質な半導体用CVD/ALDプリカーサーを最先端半導体デバイス顧客に安定供給してきた実績を保有する企業です。

今回の買収によってJSRではフォトレジストを中心とした製品ポートフォリオに半導体用CVD/ALD用プリカーサーを加え、半導体材料のグローバルサプライヤーとしてさらなる顧客価値を実現することを目指すとしています。

コメント

JSRはフォトレジストのシェアで世界トップレベルの企業です。今回の買収によって半導体材料の製品ラインナップが増加します。JSR自体が産業革新機構のTOBによって夏ころに非上場化されますが、今後も企業価値向上のための施策を打って行くのではないかと思われます。

基ニュース

JSR:プレスリリース(5/16)

デンソー、保有するルネサス株の半分超を売却し1778億円の売却益

デンソーは5/20、同社が保有するルネサスエレクトロニクスの株式の一部を売却すると発表しました。

売却されるのは発行済み株式数の4.4%に当たる78,127,800株であり、売却益は1788億円となります。

ルネサスエレクトロニクスの発行済株式総数に対する所有株式数の割合では2024年3月末時点でデンソーが8.60%となっていたため、今回の売却はその内の半分超に当たります。

デンソーでは2013年にルネサスに出資し、2018年には持分比率を引き上げて車載半導体の安定調達を実現する事業上の取引関係を構築していましたが、出資当初の目的が一定程度果たされたとして、今回位の一部保有株式売却に至ったとしています。

今回の売却益は同社の成長戦略に投資をするとしており、ルネサスとの協業関係の維持と強化は今後も継続していくとしています。

コメント

ルネサスの株価は2013年頃、300円から500円程度でした。2018年でも1000円くらいでしたので、現在の3000円近い状況からしますとあくまでも結果論ではありますが、純粋な投資としては大成功と言えるでしょう。今後も4%超の株式を保有するため関係性は維持されると思われますが、果たしてどうなるのでしょうか。

基ニュース

デンソー:プレスリリース(5/20)

プレスリリース(5/21)

東芝、石川県に300mmウエハ対応のパワー半導体新製造棟を竣工

東芝は5/23、グループ会社である加賀東芝エレクトロニクスにて、300mmウエハ対応のパワー半導体新製造棟と新事務所棟の竣工式を行ったと発表しました。

今回竣工したのは新製造棟の第1期分であり、装置の搬入を進めて2024年度下期より本格的な生産を開始する予定です。第2期については、市場の動向を見ながら建設と稼働開始の時期を決定するとのことです。

第1期フル稼働時には、低耐圧MOSFETやIGBTを中心とするパワー半導体の生産能力が、今回の建設を発表した2021年度比で2.5倍に増強されるとしています。

コメント

建設が進んでいました東芝の300mmパワー半導体工場が完成しました。東芝自体は上場廃止や大規模なリストラなどが進んでいますが、半導体事業は今後も頑張っていただきたいものです。

基ニュース

東芝:プレスリリース(5/23)

三菱グループとアイシン、次世代電動化製品に関する合弁会社設立へ

三菱電機と三菱電機モビリティとアイシンは5/24、次世代電動化関連製品事業に関する合弁会社設立に基本合意したと発表しました。

この合弁会社は、三菱電機モビリティの一部の事業を引き継ぎ、電気自動車(BEV)や、プラグインハイブリッド車(PHEV)などの次世代電動車に搭載する駆動モーター、インバータ及びそれらの制御ソフトウェアを、車両・システム目線で最適化し、これら製品の開発・生産・販売を行うとしています。

今回の合弁会社で、三菱電機モビリティが持つモーターやインバータ、制御最適化技術を進化させつつ、アイシンが持つインテグレーション(車両適合技術・システム統合技術)の技術力とのシナジー効果を最大化することで、新たな魅力ある製品を提供するとしています。

コメント

今回の協業は三菱グループとトヨタグループのアイシンが組むという構図です。三菱電機としては内製しているパワー半導体の供給先となりそうです。自動車部品メーカーの間では今後もこうした協業や連携が進みそうです。

基ニュース

三菱電機:プレスリリース(5/24)

アイシン:プレスリリース(5/24)

三菱電機、パワーデバイス事業の売上高目標を引き上げ、新工場は前倒しへ

三菱電機は5/29、三菱電機 IR Day 2024を開催し、その中でパワーデバイス事業の2025年度目標を引き上げ、さらに熊本県菊池市に建設予定の新工場の稼働を前倒しすると発表しました。

同社はパワーデバイス事業を重点成長事業と位置付けており、2025年度目標の売上高、営業利益率を2023年度に前倒しで達成したため、2025年度目標を従来の2400億円から2600億円に引き上げました。

さらに2023年3月に公表していました熊本県菊池市に建設予定の新工場の稼働を従来の2026年4月予定から2025年9月に竣工させて稼働を前倒しするとしています。

コメント

三菱電機が半導体事業の8割以上を占めるパワーデバイス事業の拡大を推し進めるようです。国内勢ではロームが積極的に投資を進めていますが、ロームに次ぐ三菱電機も負けじと拡大を進めるようですので、今後の動きにも注目です。

基ニュース

三菱電機: IR Day 2024(5/29)

ソニー、熊本県合志市のイメージセンサ新工場建設を決定

ソニーは5/31、今年度の事業説明会をオンラインで行い、その中で熊本県合志市にイメージセンサの新工場を建設すると発表しました。

イメージセンサの設備投資については2024年から2026年の3か年で、2021年から2023年の70%にあたる6500億円を投じる見込みです。

ソニーでは2023年5月に熊本県合志市におよそ27万㎡の土地取得を公表していました。

今回の説明会では建設リードタイムと労働力の確保を要する建屋の建設を判断したとしており、製造ラインの設営に向けた投資については今後の需要動向を慎重に見極めながら判断していくとしています。

コメント

説明会の中ではソニーのイメージセンサ金額シェアも公表されており、2024年は58%の見込みであり、さらに2025年は60%を目標としています。シェア拡大に向けて投資を継続し、生産能力拡大も進めるようです。

基ニュース

ソニー:事業説明会(5/31)

STマイクロ、イタリアに世界初となる完全統合型SiC工場建設へ

STマイクロエレクトロニクスは5/31、イタリアのカターニャに200mm(8インチ)SiCのパワーデバイスおよびモジュール、ならびにテストとパッケージング用の量産工場を建設すると発表しました。

同工場内にはSiCウエハ製造工場があり、SiCウエハから前工程に加えて、後工程までという同一拠点においてSiCの垂直統合された製造施設「Silicon Carbide Campus」という同社のビジョンを実現するとしています。

この新工場は2026年から生産開始し、2033年までにフル稼働することを目指す計画です。フル稼働時には最大で週当たり1万5000枚のウエハが生産される計画です。投資総額は約50億ユーロで、その内20億ユーロは欧州半導体法の枠組みにおいてイタリア政府から提供される支援になるとしています。

コメント

SiCのウエハ製造から前工程、後工程という一貫した生産拠点が設けられるということです。生産効率が良くなると思われますし、一貫生産できる点は大きな強みになりそうですね。

基ニュース

STマイクロエレクトロニクス:プレスリリース(5/31)

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