【半導体業界ニュース】2025年4月のニュースを11本厳選してご紹介！

2025年4月に半導体業界で生じたニュースを11本厳選してご紹介します。

動画で説明：半導体業界ニュース2025年4月号

4月末公開予定

2025年4月末時点の半導体関連株式市場推移

4月末公開予定

各ニュース記事：半導体業界ニュース2025年4月号

UMC、50億ドルを投じたシンガポール新工場の開所式を挙行

UMCは4/1、シンガポールの新工場開所式を挙行したと発表しました。

新工場は既存工場に隣接するエリアに建設され、完成した第1フェーズでは最大50億ドル(約7,500億円)が投じられ、300mmウエハ換算で月産3万枚の生産能力を持つということです。また将来的な第2フェーズの拡張余地を残しているとしています。

同工場では22nm/28nmプロセス品のスマートフォンディスプレイチップ、IoTデバイス用の電力効率の高いメモリチップ、次世代コネクティビティチップなどを製造する見込みです。

量産開始は2026年の予定となっています。

基ニュース

UMC：プレスリリース（4/1）

北海道大学、半導体フロンティア教育研究機構を設置

北海道大学は4/1、「半導体拠点形成推進本部」を改組し、半導体教育研究推進のヘッドクォーター機能を担う「半導体フロンティア教育研究機構」を設置したと発表しました。

同機構の活動内容は主に以下の3つです。

• 半導体教育機能の強化
• 半導体研究機能の強化
• 半導体プロトタイピングラボの整備・運営

同大学では半導体関連の全学的な方針策定や教育研究資源の効果的な統合、学外機関との連携強化、教育研究基盤の整備・運営を進めることで、教育・研究機能を強化し、人材確保や研究開発の高度化、産業政策の推進と地域社会活性化に貢献するとしています。

基ニュース

北海道大学：プレスリリース（4/1）

京都工芸繊維大学、ルチル型GeO2縦型SBD開発に世界初の成功

京都工芸繊維大学らの研究グループは4/7、超ワイドバンドギャップ半導体であるルチル型二酸化ゲルマニウム(r-GeO2)を用いた縦型ショットキーバリアダイオード(SBD)の開発に世界で初めて成功したと発表しました。

ルチル型二酸化ゲルマニウムは、バンドギャップが4.64 eVと非常に大きく、n型ドーピング制御が実証されており、p型ドーピング制御も理論予測からその可能性が示唆されています。そのため、炭化ケイ素(SiC)や窒化ガリウム(GaN)に続く次々世代パワーデバイス半導体材料のひとつとして有望視されています。

今回、研究チームは独自のミスト化学気相成長法(ミストCVD法)と傾斜GexSn1₋xO2バッファ層技術によって、TiO2基板上にルチル型二酸化ゲルマニウムのエピタキシャル層を成長させることによって縦型SBDを作成し、電気的特性評価を実施しました。その結果、理想に近いダイオード特性と低オン抵抗が確認されました。

現在は基礎研究段階であり、今後は5～10年程度のスパンで実用化に向けた産学連携研究へ発展させることを目指すとしています。

基ニュース

京都工芸繊維大学：プレスリリース（4/7）

インフィニオン、マーベルの車載イーサネット事業を買収へ

インフィニオンテクノロジーズは4/7、マーベルテクノロジーの車載イーサネット事業を25億ドル(約3,700億円)で買収すると発表しました。

同社はマーベルテクノロジーの車載イーサネット事業を買収することによって、SDV(ソフトウェア・デファインド・ビークル)の構築を加速させ市場をリードする自社のマイクロコントローラ事業を拡大するとしています。

自動車業界向け半導体ソリューションを提供する世界No.1プロバイダーであるインフィニオンにとって、今回の買収は戦略的に非常に合致するもの、とコメントしています。

今回の買収は、規制当局の承認を含む慣例的な完了条件を満たし、2025年内に完了する見込みです。

基ニュース

インフィニオンテクノロジーズ：プレスリリース（4/7）

ミネベアミツミ、セブ工場新棟着工しアナログ半導体後工程生産能力増強へ

ミネベアミツミは4/11、セブ工場の生産能力拡張を目的に建設することを発表していた新棟の起工式を挙行したと発表しました。

セブ工場は、半導体の後工程生産、カメラ用アクチュエータ、コネクタなど、ミネベアミツミの製品を幅広く手がけている工場です。

今回建設する新棟(14号棟)では、約8,000㎡のクリーンルームを構築。新たに最先端の半導体薄型パッケージ用生産ラインを2027年から立上げ、さらには既存棟の半導体生産エリアから生産を集約し、同工場における半導体後工程の生産能力を現状と比較して3倍に拡大する計画ということです。加えて将来的な拡張スペースも残す方針のようです。

今回の投資金額は総額でおよそ200億円であり、その内の約40億円はグローバルサウス補助金を活用したとのことです。

基ニュース

ミネベアミツミ：プレスリリース（4/11）

大熊ダイヤモンド、世界初のダイヤモンド半導体工場の地鎮祭を実施

大熊ダイヤモンドデバイスは4/15、福島第1工場の建設に際して3/27に地鎮祭を実施したと発表しました。

同社の社名にもなっているダイヤモンド半導体は材料が持つ物性上、高周波特性や電力効率、放熱性等に優れており次世代通信技術である6Gの実現に不可欠とも言われています。

また、高放射線や高温、低温といった極度の環境下においても正常動作が可能なデバイス材料として、原子炉内や宇宙空間といった過酷な環境下での活用にも期待されています。

同社では福島第一原子力発電所の事故を契機として、ダイヤモンド半導体の研究開発を続けており、廃炉措置が進む原子炉内での中性子線量の計測を目的としたダイヤモンド半導体を実装した「臨界近接監視モニタシステム」、原発・宇宙・防衛市場向けに「ダイヤモンド半導体アンプ」の開発を進めてきました。

そして今回、同原発が立地する福島県大熊町において、ダイヤモンド半導体の量産化に向けた世界初の工場を建設し、2026年から稼働開始予定としています。

基ニュース

大熊ダイヤモンドデバイス：プレスリリース（4/15）

佐賀大とJVCケンウッド、ダイヤモンド半導体の共同研究を開始へ

佐賀大学とJVCケンウッドは4/21、次世代の高周波パワー半導体として注目されるダイヤモンド半導体の社会実装に向けた共同研究を開始すると発表しました。

ダイヤモンド半導体は、マイクロ波帯やミリ波帯無線の高性能通信、EVや量子コンピュータなどへの活用が期待されている材料です。

佐賀大学では嘉数教授を中心にダイヤモンド半導体の研究が行われており、そこにJVCケンウッドは強みとする無線通信機器への活用や将来のオールフォトニクスに使われるデバイス研究などを見据えて共同研究を実施するというものです。

今後、佐賀大学はJVCケンウッドからダイヤモンド半導体の共同研究契約を通じた支援を受けて研究を促進し、JVCケンウッドへは主にマイクロ波帯、ミリ波帯通信用半導体の技術情報を提供するとしています。

基ニュース

佐賀大学：プレスリリース（4/21）

JVCケンウッド：プレスリリース（4/21）

横浜国大とレゾナック、半導体研究と人材育成に関する包括連携協定を締結

横浜国立大学とレゾナックは4/22、半導体産業の研究開発と人材育成に取り組むことで次世代半導体の技術と価値の向上を図ることを目的とした包括連携協定を締結したと発表しました。

今回の協定における連携事項は以下の通りです。

• 次世代半導体に求められる部材の研究開発・社会実装
• 次世代半導体の高度研究を進める人材交流・人材育成
• その他本目的に資すると認められる事項

両者はこれまでも連携を進めてきましたが、今後はこの連携をより一層強化して、その成果を半導体産業や人材育成に還元するとしています。

具体的には、半導体チップレットの高速・低省電力化を実現する新たな3Dパッケージ技術の開発やサステナブルなプロセス技術の構築などの研究開発を進めるとしています。

基ニュース

横浜国立大学：プレスリリース（4/22）

レゾナック：プレスリリース（4/22）

シャープ、半導体事業を155億円で鴻海に売却へ

シャープは4/23、半導体事業とレーザー事業を親会社である鴻海精密工業へ155億円で売却すると発表しました。

同社の子会社であるシャープ福山レーザーを2025年7月1日付で会社分割し、9月29日付で鴻海精密工業の子会社である鴻元國際投資に155億円でばいきゃくするとしています。

同社では2024年5月に発表した中期経営方針の中でブランド事業を中心とした事業体への変革とそれに伴ってデバイス事業を縮小するとしていました。今回の半導体事業売却はその一環ということです。

基ニュース

シャープ：プレスリリース（4/23）

東京エレクトロン、宮城に建設した新開発棟が竣工

東京エレクトロンは4/24、開発、製造子会社である東京エレクトロン宮城に建設していた新開発棟が完成し竣工式を行ったと発表しました。

今回完成した新開発棟は2023年6月に着工しており、投資額はおよそ520憶円となっています。地上3階、延床面積が約46,000㎡で、プラズマエッチング装置など半導体製造装置の開発を行います。

同社では、「新開発棟は、次世代開発のあり方を実現するため、安全・品質・環境を優先とした開発はもちろん、デジタル技術活用による開発の高度化や高効率な開発オペレーションをおこなう」としています。

基ニュース

東京エレクトロン：プレスリリース（4/24）

広島大とフェニテック、量産ファブで世界初のSiC集積回路を試作

フェニテックセミコンダクターは4/28、4/24に行われた広島大学の学長定例記者会見にて広島大学と同社の合同研究チームによるSiC集積回路の量産ファブでの試作製造が実施されたことを発表しました。

SiCはパワー半導体用の材料としては実用化されていますが、その高温、高放射線下でも動作可能な材料特性からEVなどでの冷却不要な集積回路や、宇宙開発、原発の廃炉作業ロボットなど、多くの応用が期待されています。

これまで広島大学では、同大学の半導体産業技術研究所内のスーパークリーンルームで回路作製を行い、ロジック回路やアナログ回路、CMOSイメージセンサなどの研究開発を進めてきました。

今回は社会実装を見据えて量産工場での作製をするために、フェニテックセミコンダクターとの合同チームを作り、回路設計を広島大学で、製造プロセス検討は両者で行い、試作をフェニテックセミコンダクターの鹿児島工場のSiC6インチラインで実施されました。

量産工場でのSiC集積回路作製は世界初の事例ということです。今後はチップに集積する素子数を増やし、SiC 集積回路の大規模化を進めるとしています。

基ニュース

フェニテックセミコンダクター：プレスリリース（4/28）