【半導体業界ニュース】2025年6月のニュースを10本厳選してご紹介!

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2025年6月に半導体業界で生じたニュースを10本厳選してご紹介します。

目次

動画で説明:半導体業界ニュース2025年6月号

2025年6月末時点の半導体関連株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年6月号

広島大学、米国アイダホ大学の海外キャンパスを設置し半導体人材育成へ

広島大学は6/2、米国アイダホ大学と半導体分野におけるグローバル人材の育成を目的とした学士プログラムの設置に関する協定を締結したと発表しました。

工学分野における米国の大学招致は国内初の取組であり、半導体分野の人材育成に特化した日米連携による学士プログラムの設置も、国内初の取組としています。

今回設置するアイダホ大学広島キャンパスでは、修了者にはアイダホ大学の学士号が授与されます。そして前半2年間は広島大学、後半2年間はアイダホ大学本校で学び、授業は4年間を通して全て英語で行われるということです。

両大学による大学キャンパスの共同運営を通じてグローバルな半導体人材の育成に貢献するとしています。

コメント

広島大学では元々半導体研究が盛んですし、マイクロンのDRAM工場もある地域です。アイダホ大学との連携で半導体分野の人材育成が加速するといいですね。

基ニュース

広島大学:プレスリリース(6/2)

荏原製作所、半導体製造装置開発を強化する藤沢事業所新開発棟が竣工

荏原製作所は6/2、藤沢事業所内に建設していた精密・電子カンパニーの新開発棟(V8棟)が竣工したと発表しました。

今回竣工した新開発棟の主用途はCMP装置などの半導体製造装置開発です。そしてその開発エリアを大きく拡張することが目的ということです。これによって次世代プロセス開発や、装置の開発スピード向上が可能になるとしています。

新開発棟は地上4階、地下1階の建物で、建築面積4,355m2、延床面積16,216m2、着工は2023年5月から始まり2025年8月から稼働開始の予定となっています。棟内にはおよそ600人が勤務できる事務所エリアを併設しており、今後の人員増強に対応できるスペースも確保しているということです。

コメント

荏原製作所と言えばAMATに次ぐ世界シェア2位のCMP装置メーカーです。次世代プロセス開発や、装置開発のスピード向上に期待したいですね。

基ニュース

荏原製作所:プレスリリース(6/2)

沖電気、NTT系と異種材料接合によるテラヘルツデバイスの量産技術を確立

沖電気は6/10、NTTイノベーティブデバイスと共同で異種材料接合技術による高出力テラヘルツデバイスの量産技術を確立したと発表しました。

今回の開発では、InP系UTC-PD(単一走行キャリア・フォトダイオード)を放熱性に優れたSiC上に異種材料接合するというものです。素子レベルで分割したInP系結晶薄膜を選択的にSiCウエハへ接合することで、従来約50%だった接合歩留まりをほぼ100%に向上させました。これにより材料の無駄を減らし、コスト低減や環境負荷の軽減にも寄与します。

高出力テラヘルツデバイスは、6G通信の大容量・低遅延化や非破壊検査など先端分野での応用が期待されており、両社は2026年の量産化・社会実装を目指し、産業界や学術界との連携を強化していく方針です。

コメント

接合歩留りをほぼ100%に向上させ、コスト低減につなげた点は素晴らしいですね。実用化を期待したいです。

基ニュース

沖電気:プレスリリース(6/10)

東大、TSMCと先端半導体の研究・教育・人材育成を推進

東京大学とTSMCは6/12、先端半導体の研究・教育・人材育成を目的とした「TSMC東大ラボ」を開設したと発表しました。

このジョイントラボは、TSMCが台湾以外の大学と初めて設立する共同研究拠点であり、両者の強みを活かして半導体分野の最先端研究を推進し、革新的な技術開発と人材育成を目指すとしています。

新設されたラボは、東京大学本郷キャンパス浅野地区に位置し、材料、デバイス、プロセス、計測、パッケージ、設計など幅広い分野で実用化を見据えた研究を進めます。

研究成果はTSMCの開発や製造にも活用され、定期的な技術シンポジウムを通じて両者の研究者や学生が交流する予定です。またプロジェクト提案やインターンシップなど産学連携の新たな展開も期待されています。

コメント

東大とTSMCによる共同ラボ設立は、日本の半導体研究と人材育成に大きな一歩です。TSMCが台湾以外で初めて設ける拠点であり、両者の知見や経験を活かした最先端の研究と実践的な教育が期待されます。今後の産学連携によるイノベーションと、グローバル人材の育成に注目したいです。

基ニュース

東京大学:プレスリリース(6/12)

東京エレクトロン、imecとのパートナーシップを延期し先端半導体開発推進

東京エレクトロンは6/16、imecとの戦略的パートナーシップを5年延長することに合意したと発表しました。

両社は1995年から協力関係を築き、パターニングやロジック、メモリ、3次元実装などの分野で半導体技術の進化を牽引してきました。今回の新たな提携では、2nm世代以降の次世代半導体開発に向け、先端パターニング技術や高度なロジックデバイスプロセス、次世代メモリ、3次元実装などの共同研究を推進するとしています。

今後は、材料システムの最適化や欠陥制御のさらなる強化、次世代CFETデバイスのための成膜・エッチング技術の開発、環境配慮型プロセスの推進など、サステナビリティにも重点を置く方針です。

コメント

両者による長年の協力関係が今後も継続していくようです。将来的来な成果や、そのころのデバイス構造といった未来はとても興味深いですので注目していきたいです。

基ニュース

東京エレクトロン:プレスリリース(6/16)

熊本県立大学、半導体関連人材育成のための新たな学部設置へ

熊本県立大学の半導体関連人材育成強化に係る共同記者会見が6/16、開催され2027年度に新しい学部を含めた教育システムのスタートを目指すと発表しました。

会見では、TSMCの工場稼働を契機に県内外で半導体関連企業の集積が進む一方、人材不足への懸念が高まっている現状が説明されました。

今後、TSMCの第3工場が建設されるとすれば2030年頃になるため、2027年度に新しい人材教育のプログラムを開始して、4年後の2030年度には人材を輩出できる計画を持つことが必要としています。

2025年秋までに方向性を検討し、今後のスケジュールが発表される予定です。

コメント

熊本県では熊本大学で工学部に半導体デバイス工学課程が設けられています。ただし人材不足は明確であり熊本大学とも連携していくということです。今後の詳細な計画が楽しみですね。

基ニュース

熊本県立大学の半導体関連人材育成強化に係る共同記者会見(6/16)

浜松ホトニクス、本社工場新棟完成し光半導体前工程の生産能力を拡大

浜松ホトニクスは6/17、本社工場の新棟が完成し2025年12月から稼働を開始すると発表しました。

医療や産業、自動車分野など幅広い分野で光半導体製品を供給する同社は、今後の需要増加を見据え生産能力の強化を図るために2023年に工場建設を発表していました。

新棟は地上4階地下1階の建物で、総工費は約370億円、生産能力は8インチウエハ換算で月約8,000枚となっています。新棟完成によって生産スペースは従来の約2倍に拡張され、既存の6インチシリコンウエハ生産ラインに加え、8インチウエハ対応の新ラインを導入し、生産の継続性と効率化、コストダウンを実現するとしています。

コメント

スケジュール通りに工場が完成し、年末から稼働を開始するようです。これまでは6インチラインであったということで8インチに口径拡大し、生産能力はもちろん生産効率向上も図られるようですね。

基ニュース

浜松ホトニクス:プレスリリース(6/17)

TI、600億ドル以上を投じて米国内での半導体製造能力を増強へ

テキサス・インスツルメンツ(TI)は6/18、米国での半導体製造に600億ドル以上を投資するという計画を発表しました。

この計画は、テキサス州とユタ州の3拠点に7つの工場を建設するというもので、現在テキサス州シャーマンに建設中の2工場も含まれます。

投資総額は600億ドルを超えるということで、日本円にして9兆円近い巨額の投資となります。これによって6万人を超える新規雇用が創出されるとしています。

さらにAppleやNVIDIA、SpaceX、Fordといった米国の大手企業とも戦略的な提携を強化していくとしています。

コメント

既存投資を含めての数字ですが、巨額の投資と多くの雇用を産む計画が発表されたようです。大きな数字は米国政府の思惑もありそうですが、米国内への半導体製造回帰がより進むようですね。ただ果たしてそんなに多く雇用できるほどの人材が集まるのかは少々疑問があります。

基ニュース

テキサス・インスツルメンツ:プレスリリース(6/18)

SATAS、後工程自動化・標準化の開発ラインをシャープ亀山工場に構築へ

SATAS(半導体後工程自動化・標準化技術研究組合)は6/19、NEDO(国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構)から受託して進めている「半導体後工程自動化・標準化の開発・実証に関する研究開発」におけるパイロットラインサイトをシャープ亀山工場に決定したと発表しました。

この研究開発では、後工程の完全自動化に必要な各製造装置間の物理的・論理的な業界標準インタフェースの仕様作成、その仕様に従った製造装置の開発と実装、単体試験を行い各装置を統合したパイロットラインでの結合試験や動作検証を実施してパイロットライン全体としてのエネルギー生産性改善となる研究開発を行うとしています。

今回パイロットラインサイトがシャープ亀山工場に決まり、同工場の建物、施設、設備等を活用してパイロットラインの構築を進め、2027年度中の稼働開始を目指す予定です。

コメント

SATASのパイロットラインをシャープ亀山工場に設けることが正式に決まったようです。建屋や施設を流用できるため、立上げが早く進むと思われますし、シャープのデバイス事業のアセットライト化の方針とも合致したのでしょうか。

基ニュース

SATAS(半導体後工程自動化・標準化技術研究組合)プレスリリース(6/19)

ルネサス、ウルフスピード再建支援契約締結で2500億円の損失計上へ

ルネサスエレクトロニクスは6/23、ウルフスピードの財務再建について定める再建支援契約を締結したと発表しました。

同社とウルフスピードの間では、2023年7月にSiCウエハ供給契約が締結され、ウルフスピードへ20億ドル(約2,920億円)の預託金が提供されています。この契約は、2024年10月に修正されており預託金の元本相当額は総額20.62億ドル(約3,011億円)となっています。

ところがSiC市場の不況などによって2025年5月、ウルフスピードが財務上の課題に直面したとして法的再建手続きを実施する可能性がある旨を公表しました。

そのため今回、ウルフスピードの財務再建に関する再建支援契約を締結されたということです。

これによってルネサスでは2025年12月期の第2四半期に、最大約2500億円規模の損失計上する可能性があるとしています。損失の最終的な計上時期や計上額は、今後、監査法人とも協議の上で、確定する見込みです。

コメント

ルネサスとウルフスピードがSiCウエハ供給契約を結んだのが2023年7月ということで、わずか2年の間に状況が大きく変わってしまいました。ルネサスとしても痛いところですが、SiC市場全体として今後どうなっていくのか、ここも中国企業に席巻されつつありため少々気がかりです。

基ニュース

ルネサスエレクトロニクス:プレスリリース(6/23)

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