2025年12月に半導体業界で生じたニュースを12本厳選してご紹介します。
動画で説明:半導体業界ニュース2025年12月号
2025年12月末時点の半導体関連株式市場推移

各ニュース記事:半導体業界ニュース2025年12月号
NVIDIAとSynopsys、設計に関する戦略的パートナーシップを拡大

NIVIDIAとSynopsysは12/1、設計とエンジニアリングに革命を起こすための戦略的パートナーシップの拡大を発表しました。
両社の提携では、NVIDIAのAI・GPU加速コンピューティングとSynopsysのEDA/シミュレーションなどのエンジニアリングソリューションを深く統合し、半導体から自動車・航空宇宙など幅広い産業のR&Dにおける設計・シミュレーション・検証を高速・高精度かつ低コストで行えるようにする長期的な戦略パートナーシップを拡大するというものです。
この一環として、NVIDIAがSynopsys株を約20億ドル(1株414.79ドル)分取得して出資し、CUDAやデジタルツイン、物理AIなどのプラットフォームとSynopsysのEDA/IP/ハードウェア検証ソリューションを組み合わせ、AI活用による自動化・高度化された設計フロー(エージェント型AIなど)の実現を目指すとしています。
NVIDIAとSynopsysが提携を拡大し、NVIDIAは20億ドル(約3,100億円)をSynopsysに出資するようです。これによってEDAがGPU最適化とAI前提へこれまで以上にシフトしそうですね。
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Synopsys:プレスリリース(12/1)
マイクロン、消費者向けメモリブランドの「Crucial」終了へ

マイクロンは12/3、29年続いたコンシューマ向けブランドである「Crucial」事業からの撤退を決定したと発表しました。
同社は第2四半期末(2026年2月)まで、コンシューマーチャネルを通じてCrucial製品の出荷を継続し、その後も保証サービスとサポートを継続的に提供するとしています。
今後については、データセンター向けAI需要によるメモリ・ストレージ需要の急増を背景に、成長性と収益性の高いエンタープライズ/商用セグメントへリソースを集中し、ポートフォリオ変革と長期的な事業パフォーマンス向上を図る方針を示しています。
マイクロンがコンシューマ向け事業から撤退するようです。AI向け需要の高まりに対して注力する判断は経営としては妥当だと感じますが、少々寂しいですね。昨今のPCパーツ市場ではメモリ価格の高騰が続いていますので、今後が心配になります。
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マイクロン・テクノロジー:プレスリリース(12/3)
佐賀大ら、ダイヤモンド半導体を使った高周波デバイスを開発

佐賀大学と国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)、ダイヤモンドセミコンダクターは12/8、ダイヤモンド半導体を使った高周波デバイス開発を行ったと発表しました。
今回の開発は、文部科学省「内閣府宇宙開発利用加速化戦略プログラム」(スターダストプログラム)」の委託事業およびNICT「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業の要素技術・シーズ創出型プログラム」によるものということです。
ダイヤモンド半導体は一般的に使用されているSiの他、SiCやGaNと比較して放熱性や耐電圧性、放射線耐性に優れた材料であり、地上だけでなく宇宙空間などの過酷な環境下でも安定に動作させることが可能です。
佐賀大学ではこれまで、ダイヤモンド基板結晶ウエハ大口径化とデバイスの独自技術開発を行い、パワー半導体デバイスの作製と動作実証をしてきています。
今回は、ダイヤモンド半導体が、マイクロ波帯・ミリ波帯の高周波数においても、世界最高レベルの増幅動作が行えることを実証したもので、2026年1月からはダイヤモンド半導体デバイスのサンプル製造・販売をダイヤモンドセミコンダクターより順次開始する予定ということです。
ダイヤモンド半導体を使った高周波デバイス開発が進んでいるようです。まだまだ研究開発段階で、今後もさまざまな開発や実証研究が必要と思いますが、サンプル製造も開始されるということですので、確実に実用化に向けて進んでいるようですね。難しい部分が多々あると思いますが、期待をしたいです。
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佐賀大学:プレスリリース(12/8)
大日本印刷、最先端品向け用のナノインプリント用テンプレートを開発

大日本印刷は12/9、半導体の回路パターンの形成に使用するナノインプリントリソグラフィ向けに1.4nm世代相当のロジック半導体に対応可能な回路線幅10nmのテンプレートを開発したと発表しました。
最先端の半導体ではその製造にEUV(Extreme Ultra-Violet:極端紫外線)リソグラフィが必須となっています。しかしEUV露光を用いた生産ラインの構築には高いコストや膨大な電力量が必要となるため、製造コスト削減と環境負荷低減の両立が急務となっています。
今回同社はEUVリソグラフィの一部工程の置き換えや、生産プロセスを持たない顧客のニーズに対応するために先端領域のロジック半導体の製造を可能にする回路線幅10nmのNIL(Nano-Imprint Lithography)用テンプレートを開発したということです。
このテンプレートはパターンの密度を2倍にするダブルパターニング(SADP:Self-Aligned Double Patterning)を活用して微細化を実現したということです。今後は半導体メーカーとの評価を進め、2027年の量産開始を目指すとしています。
ナノインプリント・リソグラフィ技術は簡単に言いますとハンコと同じ原理で回路パターンを転写するものです。実際の生産にどれほど適用されているかはちょっと分かりませんが、今回DNPが最先端品に使えるテンプレートを開発したということで、EUVリソグラフィを一部でも代替できるのであればコスト競争力からしても楽しみですね。
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大日本印刷:プレスリリース(12/9)
キオクシア、高密度・低消費電力3D DRAM実用化に向けた基盤技術開発

キオクシアは12/12、高密度・低消費電力3D DRAMの実用化に向けた基盤技術として高積層可能な酸化物半導体チャネルトランジスタ技術を開発したと発表しました。
AI需要の高まりによって、これまで以上に大容量かつ低消費電力のDRAMが求められており、メモリセルの3次元積層化の研究が進んでいます。しかし従来DRAMと同様に単結晶シリコンをトランジスタのチャネル材料に使用すると、高コストかつ消費電力が増加する課題があります。
そこで同社は、高積層可能な酸化物半導体チャネルトランジスタ技術を開発し、8層積層してトランジスタ動作を確認したということです。
チャネル材料に酸化物半導体(InGaZnO)を使用することでリフレッシュ電力を抑制することが期待できるというものです。今後も、この技術を用いた3D DRAMの実用化に向けて研究開発を進めるとしています。
キオクシアはフラッシュメモリ大手の一角ですが、開発が進んでいるのは酸化物半導体を用いた3次元DRAMということで、実用化されれば事業拡大が期待できますね。
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キオクシア:プレスリリース(12/12)
SCREEN、米国NY州に半導体の研究開発拠点を設立

SCREENホールディングスは12/16、半導体製造装置事業における製品競争力の強化を目指して米国ニューヨーク州に研究開発拠点を設立したと発表しました。
設立された拠点は、SCREEN Advanced Technology Center of America, LLC(ATCA)という社名で、場所はニューヨーク州で最先端の半導体研究施設を運営するNY Createsの施設であるAlbany NanoTech Complex内ということです。
今後、同施設内のCRに装置を設置して最先端デバイスの特性評価を行い、次世代プロセスの開発を加速されると同時に、同施設に入居する他の企業といった幅広いステークホルダーと協業する機会拡充を図るとしています。
設備投資の総額は120億円規模となっています。
SCREENがAlbany NanoTech Complex内に研究開発拠点を設けるようです。Albany NanoTech Complexと言えば、ラピダスがIBMと共に研究開発を行っている拠点でもあります。協業が進んでいくのかもしれませんね。
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SCREENホールディングス:プレスリリース(12/16)
日本IBM、ラピダスのIIM-1に半導体製造プロセス基幹システムを導入

日本IBMは12/16、半導体製造プロセスの基幹システムをラピダスのIIM-1に導入したと発表しました。
IBMの製造実行システムであるIBM IndustryView for Semiconductor Standard(SiView Standard)は、1980年代に滋賀県のIBM野洲工場で活用された自社用ソリューションを起源としています。
およそ30年にわたり国内外の半導体工場へ展開実績を有する製造実行システムであり、工場の自動化、高効率運用、稼働率向上を実現するというものです。
ラピダスの最先端半導体製造拠点であるIIM-1(北海道千歳市)に導入し、2025年4月より稼働開始しているということです。また、IIM-1建設前にデジタルツイン技術により実装した仮想ファブ上での能力検証し短期間で実装・立上げしたとしています。
ラピダスでは25年4月からパイロットライン稼働を開始し、7月にはGAA構造トランジスタの試作動作を確認しています。その陰にはこうした製造実行システムが活躍をしている訳です。こうしたシステムも短期間での立上げですのできっと大変だったのだと容易に想像できますね。
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日本IBM:プレスリリース(12/16)
TOPPAN、石川工場に次世代パッケージのパイロットラインを導入へ

TOPPANホールディングスは12/16、グループ会社のTOPPAN石川工場に次世代半導体パッケージの研究開発を進めるためのパイロットラインを導入し、2026年7月からの稼働開始を目指すと発表しました。
同社の石川工場は2023年にJOLEDから買収したものです。
今回設置されるパイロットラインでは、大型ガラス基板を用いたインターポーザーの研究開発、ガラスコアや有機RDLインターポーザーなどの次世代半導体パッケージに必要な部材の研究開発を行い、将来的な量産化に向けた技術の検証を進めるとしています。
そのうち有機RDLインターポーザーの開発についてはNEDO(国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構)が公募した「ポスト5G情報通信システム基盤強化研究開発事業/先端半導体製造技術の開発(助成)」に採択されたものです。
このNEDOに採択された事業は、大阪公立大学、富山県立大学、信州大学、東京科学大学、産業技術総合研究所と連携して技術開発を推進するということです。
TOPPANが買収した工場を活用して次世代パッケージのパイロットラインを構築して研究開発を進めるようです。複数の大学と連携して人材の育成や採用にも取り組むとしていますので、期待をしたいですね。
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TOPPANホールディングス:プレスリリース(12/16)
大日本印刷、久喜工場にTGVガラスコア基板のパイロットライン新設

大日本印刷は12/16、久喜工場内に、次世代半導体パッケージ向けのTGV(Through Glass Via:ガラス貫通電極)ガラスコア基板のパイロットラインを新設して2025年12月から稼働を開始したと発表しました。
同社では2023年に有機コア基板の代替として採用が見込まれているガラスをコア材料としたTGVガラスコア基板を開発しています。
これによってパッケージ基板の大型化に伴う基板の反りという課題を解決するとしており、今後このパイロットラインで量産検証を進め、2026年初頭からサンプル提供を開始するとしています。そして2028年度から量産開始の予定となっています。
TOPPANに続きDNPでもチップレットに使用される次世代パッケージのパイロットラインを構築するようです。サイズや素材などさまざまなものがありますが、今後は何かがディファクトスタンダードになるのか、種々のものが使い分けられていくのか、注目ですね。個人的には後者になると思っています。
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大日本印刷:プレスリリース(12/16)
ラピダス、AI活用した独自の設計ツールを公表

ラピダスは12/17、AIを活用した独自の設計ツールであるRaadsを発表しました。
Raadsは同社が提唱するRUMS(Rapidus AI-Agentic Design Solution)を具現化するツール群であり、半導体設計者をAIによってアシスト、さらにRaadsが最先端半導体デバイス設計のAIエージェントとなることを目指すとしています。
Raadsを既存のEDAツールとあわせて使用すると、設計期間の50%短縮と設計コストの30%削減を可能するとしています。
今回はLLMベースのEDAツールであるRaads Generatorと、RTLデバッグおよび物理設計・配置配線の最適化ツールであるRaads Predictorが公表され、今後も複数のツール群が順次リリース予定ということです。
ラピダスは2027年に量産開始を計画しています。そこに向けて具体的に設計するためのツールが順次リリースされるようです。どういった企業が実際に設計し、ラピダスで量産を行っていくのか興味が尽きません。今後も引き続き注目していきたいです。
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ラピダス:プレスリリース(12/17)
古河電工、380億円を投じてレーザダイオードチップ製造工場を新設へ

古河電気工業は12/17、信号光源用の高出力DFBレーザダイオードチップの製造工場を新設すると発表しました。
データセンタの通信需要増加に伴い、ネットワーク速度が高速化する中で、シリコンフォトニクス技術を用いた小型・低消費電力な光トランシーバの重要性が高まっています。
こうした背景の下、同社はグループ会社である古河ファイテルオプティカルデバイスがジャパンセミコンダクター岩手事業所内に工場建屋を借用してDFBレーザダイオードチップの製造工場を新設します。
量産開始は2028年4月に予定されています。またタイの工場内にDFBレーザダイオードチップの検査・組立等のための設備を導入するとしています。
これらの施策によって2028年にDFBレーザダイオードチップの生産能力を2025年度比5倍以上に引き上げる計画です。
DFBレーザダイオードは分布帰還型レーザとも呼ばれ、レーザの発振縦モードを単一化したレーザで波長安定性が高く線幅が狭いという特徴を持っています。データセンタではメイン処理を行うGPUなどのAI向け半導体が脚光を浴びていますが、こうした周辺に使用されるものも当然ですが需要が高まっているのですね。
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古河電気工業:プレスリリース(12/17)
ローム、タタ・エレクトロニクスと半導体製造で戦略的パートナーシップ締結

ロームは12/22、タタ・エレクトロニクスとインド及び世界市場向けの半導体製造に関する戦略的パートナーシップを締結したと発表しました。
これによってロームのデバイス技術とタタ・エレクトロニクスの後工程技術を融合し、インドにおけるパワー半導体の製造体制を構築、インド市場において事業機会を共同創出するとしています。
今回のパートナーシップとして、ロームがインドで開発・設計した車載向け100V耐圧, 300A Nch Si MOSFETのTOLLパッケージ品をタタ・エレクトロニクスが製造して2026年中に量産出荷する予定です。
さらに今後、高付加価値パッケージ等の共同開発を検討、連携により生産した製品のマーケティング活動も共同で推進するということです。
ロームがインド市場の拡大のためにタタ・エレクトロニクスと連携するようです。インドは大きな市場であり、今後の成長が期待できるため、楽しみですね。
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ローム:プレスリリース(12/22)
