【2025年秋季版】世界の半導体市場と今後の予測を解説!

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世界の半導体市場は多くの方がご存じのようにAI需要の高まりによるデータセンター向け投資によって大きく伸びています。

そして2025年ももちろんのこと、2026年は更なる成長が予測されています。

この記事ではそんな半導体の世界市場について、WSTSという世界の半導体市場に関する統計機関が発表している2025年春季版の結果を解説します。是非とも最後までご覧ください。

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【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
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ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
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目次

動画で解説:2025年秋季版 世界の半導体市場

WSTSとは半導体市場に関する世界的な統計機関

まずはじめに半導体市場の統計値を公表しているWSTSについて確認しましょう。

WSTSとは、WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICSの略称で、世界の半導体メーカが自主的に加盟している半導体市場に関する世界的な統計機関のことです。加盟している半導体メーカーは2025年現在で50社となっています。

市場統計予測値は原則年2回公表しています。例年春季版を6月頃、秋季版を11月頃となっています。

今回取り上げたデータは2025年12月2日に公表された秋季データを用いています。

地域別半導体市場の推移

まず最初は地域別の半導体市場の推移を確認していきましょう。

世界の半導体市場

2025年の世界の半導体市場については前年比+22.5%と大きく成長することが予測されています。2025年も残りわずかですので、この予測値が大きく外れることはないでしょう。

これは言わずもがなですが、GAFAMなど大手IT企業によるデータセンター投資が勢いを増しており、主にメモリとロジックが特に高成長している結果です。

さらに2026年の予測値では前年比+26.3%と2年連続で20%を超える大きな成長が続くとみられています。これによって市場は1兆ドルの大台が近づき、上振れすれば達することになりそうです。

つい数年前に1兆ドルは2030年頃という予測がありましたが、かなり前倒しされるのではと考えられます。

日本の半導体市場

個別の地域別としてまず、日本の半導体市場について確認しましょう。

日本市場は2025年、ドルベースでは前年比-4.1%、円ベースで-6.3%とマイナス成長が予測されています。これは地域別では唯一のマイナス成長となっています。

ただ2026年はドルベースで前年比+11.9%、円ベースで+11.6%と二桁の成長予測となっています。これによってわずかではありますが、過去最高を更新することが見込まれています。

米国の半導体市場

次に米国の半導体市場について確認しましょう。

米国市場は2025年は+29.1%と大幅な成長が予測されています。そして2026年はさらに+34.4%と大きな成長が継続する予測となっています。

推移を見ていただいてわかるように2021年頃からの伸びが非常に大きく、さらに2024年以降は伸びがさらに大きくなっていくことが見込まれています。これによって2024年からは毎年過去最高を更新することになりそうです。

このため、世界市場でも相対的な存在感が増している形です。米国市場恐るべしですね。

欧州の半導体市場

3つ目は欧州の半導体市場について確認しましょう。

欧州市場は2025年は+5.6%とプラス成長に転じる予測です。そして2026年は+11.6%と成長が継続して、過去最高を更新する予測となっています。

推移と金額はかつて日本市場と似たような動きになっていましたが、近年では欧州市場の方が成長して少し引き離されている形になっています。

アジア・太平洋地域の半導体市場

地域別の最後としてアジア・太平洋地域の半導体市場について確認しましょう。

アジア・太平洋市場は2025年は+24.9%と米国市場に次ぐ大幅なプラス成長予測です。さらに2026年も+24.9%と2年連続で大きく成長し過去最高を更新する予測となっています。

成長率予測の数字が2年連続で同率となる珍しい感じになっていますが、高い伸び率である点は変わりなくすさまじく成長していきそうです。

製品別半導体市場の推移

次に製品別の半導体市場について確認してきます。

WSTSでは半導体を大きくICと非ICに二分しています。

IC製品は2025年+25.6%と大幅に成長することが予測されています。さらに2026年は+29.0%と大きなプラス成長がまだまだ続いていく予測です。

一方で非IC製品は2025年が前年比+3.7%、2026年は+7.2%と堅調なプラス成長が続く予測です。

ICと非ICに二分されていますが、過去から概ね全体の8割以上をICが占めています。そして近年ICが大きくプラス成長しているため市場全体の成長を牽引している格好です。2026年の予測値では、ICの占めるほぼ9割にまで上昇する見込みです。

この後ではさらにIC、非IC製品の内訳をもう少し見ていきましょう。

IC製品別推移

IC製品はロジック、マイクロ、メモリ、アナログの4種類に分類されます。

  • ロジック:ASICやGPU、FPGAなど
  • マイクロ:マイコンやプロセッサなど
  • メモリ:DRAMやフラッシュメモリなど
  • アナログ:AD/DA変換や電源ICなど

2025年、2026年と全般的に成長する見込みです。その中でAI需要のため、ロジックとメモリの成長率が非常に高くなっています。AI向けの投資については一部のバブルとの懸念もささやかれてはいますが、AIスケーリングと言われるデータ量と計算量を増やすほどにAI性能が向上する法則があるため、大手各社はなかなか投資を抑制することは難しいだろうと思われます。

今後どこかで投資が一定程度落ち着くことはあるかもしれませんが、直近は投資が続いてAI性能向上はどんどんと進むのではないかと個人的に思っています。

非IC製品別推移

非IC製品はディスクリート、センサ、オプトの3種類に分類されます。

  • ディスクリート:パワー半導体など
  • センサ:圧力センサ、ジャイロセンサ等
  • オプト:LED、イメージセンサなど

2025年はディスクリートのみがわずかにマイナス成長となっています。2026年は全般にプラス成長予測してわずかながら過去最高を更新する見込みです。どれも堅調に推移する予測ですが、IC製品と比較しますとどうしても見劣りしてしまいます。

製品別推移まとめ

最後に製品別のまとめです。

これまで見てきました通り、ロジックとメモリが今後も大きく成長していく予測です。AI関連需要が今後も続くためと考えられます。成長率を製品別に並べますと、ロジックとメモリが頭ひとつふたつ抜け出しています。

市場全体として見ますと、ロジックとメモリの占める割合が年々増していきます。2026年には市場全体の7割がこの2製品で占められるようになる見込みです。半導体市場全体もまだまだ成長していく見込みですが、製品毎に成長率が異なりますので、投資にも就職や転職にもこの辺りをきっちりと抑えて考えていきたいものですね。

出典

WSTS:2025年秋季半導体市場予測について(12/2)

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