【2025年春季版】世界の半導体市場と今後の予測を解説!

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パソコンやスマホ、家電に自動車といった私たちの身の回りの便利なものには必ず半導体が使われています。近年ではAIの発展と普及によってますます半導体の重要度が向上しています。

半導体市場は2024年、AI需要の高まりによるデータセンター向け投資によってメモリやGPUなどのロジック製品が市場成長を牽引しました。

そして2025年、さらに2026年も市場拡大が予測されています。

この記事ではそんな半導体の世界市場について、WSTSという世界の半導体市場に関する統計機関が発表している2025年春季版の結果を解説します。是非とも最後までご覧ください。

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【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
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ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
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  • 半導体関連企業の株を買いたい
目次

動画で解説:2025年春季版 世界の半導体市場

WSTSとは半導体市場に関する世界的な統計機関

まずはじめに半導体市場の統計値を公表しているWSTSについて確認しましょう。

WSTSとは、WORLD SEMICONDUCTOR TRADE STATISTICSの略称で、世界の半導体メーカが自主的に加盟している半導体市場に関する世界的な統計機関のことです。加盟している半導体メーカーは2025年現在で50社となっています。

市場統計予測値は原則年2回公表しています。例年春季版を6月頃、秋季版を11月頃となっています。

今回取り上げたデータは2025年6月3日に公表された春季データを用いています。

地域別半導体市場の推移

まず最初は地域別の半導体市場の推移を確認していきましょう。

世界の半導体市場

世界の半導体市場は2024年、前年比+19.7%と大きく成長しました。2023年はマイナスでしたが、そこから回復して市場規模としても2022年を超えて過去最高を更新しています。

この成長を牽引しているのは、何と言ってもAI関連需要です。NVIDIAやOPEN AIをはじめとするAI関連ニュースが毎日のように新聞やニュースに出てくるようになっています。私たちの身の回りでもChatGPTなどが生活にどんどんと入り込んでいることを実感されている方も多いのではないでしょうか。

そして2025年は前年比+11.2%と二桁成長が維持される予測となっています。さらに2026年は+8.5%と市場拡大が継続する予測です。

上図を見ていただいてわかる通り、年々過去最高を更新していく予測ということです。

地域別の構成比率は、2026年予測値で日本6.5%、米国33.2%、欧州7.4%、アジア・太平洋52.9%となっています。この後に個別に見ていきますが、米国が大きく成長する予測で、相対的な割合として増加しています。日本をはじめとする他の地域は割合が下がっている形になっています。

日本の半導体市場

個別の地域別としてまず、日本の半導体市場について確認しましょう。

日本市場はドルベースで、2024年は前年比±0%と横ばいでした。2025年は前年比+0.6%とわずかにプラス成長予測ですが、ほぼ横ばいです。2026年は+5.8%ということでプラス成長し、過去最高を更新するという予測になっています。

日本市場は過去25年間を見てみると、大きく減少している時期はありますが全体としては横ばいです。世界の半導体市場は上下しながらも拡大していますので、世界市場における日本の相対的な割合が減少している状況です。

近年は日本政府も半導体関連企業へ積極的な助成を進めていますので、今後その成果が表れて市場拡大していくことに期待していきたいです。

米国の半導体市場

次に米国の半導体市場について確認しましょう。

米国市場は2024年、前年比+45.2%と大きく成長しました。2025年は+18.0%と2年連続で二桁の大幅な成長が予測されています。そして2026年は+9.6%と成長が継続する予測となっています。

2024年から2026年の3年間で市場が2倍近くに拡大するということになります。そのため、世界市場でも相対的な存在感が増している形です。

欧州の半導体市場

3つ目は欧州の半導体市場について確認しましょう。

欧州市場は2024年、前年比-8.1%とマイナス成長でした。ただし2025年は+3.4%とプラス成長に転じる予測です。そして2026年は+6.1%と成長が継続して、過去最高を更新する予測となっています。

傾向としては日本市場と似たような動きになっています。

アジア・太平洋地域の半導体市場

地域別の最後としてアジア・太平洋地域の半導体市場について確認しましょう。

アジア・太平洋市場は2024年、前年比+16.4%と二桁のプラス成長でした。2023年に落ち込んだ部分が回復した形です。

そして2025年は+9.8%と引き続きプラス成長予測です。2026年は+8.5%とさらに成長して過去最高を更新する予測となっています。

製品別半導体市場の推移

次に製品別の半導体市場について確認してきます。

WSTSでは半導体を大きくICと非ICに二分しています。

IC製品は2024年前年比+25.9%と大幅なプラス成長でした。そして2025年は+13.4%と二桁成長が継続することが予測されています。2026年は+9.1%と大きなプラス成長がまだまだ続いていく予測です。

一方で非IC製品は2024年が前年比-7.5%でした。そして2025年も前年比-1.9%と2年連続でマイナス成長の予測となっています。2026年は+4.5%とプラス成長に転じる予測です。

ICと非ICに二分されていますが、全体の8割以上をICが占めており、ICが大きくプラス成長しているため市場全体の成長を牽引している格好です。2026年の予測値では、ICの占める割合は87.7%と9割近くにまで上昇する見込みです。

この後ではさらにIC、非IC製品の内訳をもう少し見ていきましょう。

IC製品別推移

IC製品はロジック、マイクロ、メモリ、アナログの4種類に分類されます。

  • ロジック:ASICやGPU、FPGAなど
  • マイクロ:マイコンやプロセッサなど
  • メモリ:DRAMやフラッシュメモリなど
  • アナログ:AD/DA変換や電源ICなど

2024年はアナログがマイナス成長でしたが、ロジックは+20.8%、メモリは2023年の反動もあり+79.3%と大きく成長し、IC全体を牽引しました。

2025年はマイクロがマイナス成長予測ですが、ロジックが+23.9%、メモリが+11.7%と二桁成長する予測です。

そして2026年は全般にプラス成長予測となっており、その中でもメモリは+16.2%と二桁成長が継続する予測となっています。

非IC製品別推移

非IC製品はディスクリート、センサ、オプトの3種類に分類されます。

  • ディスクリート:パワー半導体など
  • センサ:圧力センサ、ジャイロセンサ等
  • オプト:LED、イメージセンサなど

2024年は全般にマイナス成長となっており、中でもディスクリートは-12.7%と厳しい年でした。

2025年もディスクリートとオプトはマイナス成長予測となっており、唯一センサはプラス成長予測です。

20226年になると全般にプラス成長予測ですが、ピークである2022年には届かないレベルです。IC分野が年々成長しているのと比較して、やや足踏みしている印象です。

製品別推移まとめ

最後に製品別のまとめです。

これまで見てきました通り、ロジックとメモリが今後も大きく成長していく予測です。AI関連需要が今後も続くためと考えられます。その一方でEV普及が想定よりも進まずにディスクリートをはじめとする車載関連はやや伸び悩んでいるように見えます。

市場全体としてはこれからも大きく成長するようですが、分野によって明暗が分かれる2025年になりそうです。2026年には全般にプラス成長予測ですので、産業全体で成長の恩恵を受けたいですね。

出典

WSTS:2025年春季半導体市場予測について(6/3)

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