【半導体関連企業研究】シリコンウエハ大手のGW子会社GWJを徹底解説

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グローバルウェーハズ・ジャパンはシリコンウエハ世界3位の台湾グローバルウェーハズの日本子会社です。ただ元々のルーツは東芝系の会社です。

この記事ではそんなグローバルウェーハズ・ジャパンについて徹底解説します。是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人

【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
  • 著書を出版しました
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ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
  • 半導体業界に興味がある
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  • 特にGWJについて調べたい
目次

動画で解説:GWJ(グローバルウェーハズ・ジャパン)について

GW(グローバルウェーハズ)は世界3位のシリコンウエハメーカー

グローバルウェハーズは台湾に本社を置くシリコンウエハ世界3位の大手メーカーです。

設立は2011年、SASグループから分社化されて設立されています。

本社は台湾新竹のサイエンスパークに位置しています。従業員数は約7000名、拠点はアジアからヨーロッパ、アメリカと文字通りグローバルに製造拠点を有している企業です。

日本を除くと最大のシリコンウエハメーカーと記載されており、これは日本の信越化学工業とSUMCOのことを指していると考えられます。

提供しているウエハは口径が3インチから12インチまで幅広く、エピウエハ、アニールウエハ、ポリッシュドウエハと一通り揃っており、パワー半導体の用のFZウエハやSiC、GaNなども取り扱っているようです。

GWJ(グローバルウェーハズ・ジャパン)はGW100%子会社

グローバルウェーハズ・ジャパン(以下GWJ)は、本社が新潟県北蒲原郡聖篭町にあります。

設立は1991年でこれは後で見る歴史の中で触れますが現在のGWJ本社の前身である新潟東芝セラミックスが設立された年です。

上場はしておらず非上場の会社で、親会社のグローバルウェーハズ100%子会社です。そのため売上高は公開されておらず不明ですが、従業員数は1223名となっています。

GWJの歴史

GWJの歴史は前身企業から見ていきますと非常に長く100年以上の歴史を持っています。

東洋耐火煉瓦(のちの東芝炉材)が創立されたのが1918年で、1928年に創立された電気金融(のちの東芝電興)と1968年に合併して1968年に東芝セラミックスが発足しました。

その後、1977年から東芝本体から移管されたシリコンウエハ製造事業が開始されました。1982年には現在のGWJ徳山工場である徳山セラミックスが発足し、1985年には現在の関川工場である関川電子が、そして1991年に現在の本社兼新潟工場である新潟東芝セラミックスが発足しています。

1993年に6インチウエハを、1995年には8インチウエハを、そして2001年からは12インチウエハの製造が開始されています。

2006年に経営陣が既存株主から自社の株式を広く買い付けて行う、企業買収の手法のひとつであるMBO(Management Buyout:マネジメントバイアウト)によって独立し翌2007年にコバレントマテリアルへと商号変更がされています。

そして2012年にSASへ事業譲渡が行われ、2013年からグローバルウェーハズ・ジャパンに社名が変更されています。

冒頭で東芝系の会社であったと述べたのはこうした歴史を持つ企業であるためです。

シリコンウエハとはシリコン単結晶の薄い円盤状の基板

ここでシリコンウエハについて確認してみましょう。

シリコンウエハとは、シリコン単結晶の薄い円盤状の基板のことです。このシリコン基板上にICが作り込まれます。

「半導体」という言葉には2つの意味があります。もともとはシリコンのような導体と絶縁体の中間の導電率(伝導率)を持つ材料自体のことを指します。

しかし現在ではこのシリコン基板の上に作り込まれるICのことを指して半導体と呼ばれています。半導体=ICということになります。

ウエハ材料はすべてシリコンという訳ではありませんが、世の中のほとんどの半導体はシリコンで作られています
その理由として大きく4つあります。

  1. シリコンは地球上の多く存在しているため
    クラーク数と呼ばれる地表表面に存在する元素の割合が酸素に次いで2番目に多いです。つまり材料の枯渇懸念がないと言えます。
  2. バンドギャップがGeより大きく高温動作できる
    半導体の黎明期にはGe(ゲルマニウム)が使われていました。ゲルマニウムよりもシリコンはバンドギャップが大きく高温での動作が可能になります。
  3. 不純物を取り除き、高純度化がしやすい
    シリコンウエハを作るには半導体グレードと呼ばれる超高純度に材料を精製する必要があります。シリコンは超高純度に精製しやすいです。(精製する必要があるため技術開発がされたとも言えます)
  4. 良質な酸化膜を形成でき、加工しやすい
    トランジスタのゲートには絶縁性が高い膜が必要です。シリコンを酸化させたシリコン酸化膜は絶縁性が高く安定した絶縁膜です。シリコンは固く加工性も良いです。

シリコンウエハの大きさを表す数値としてウエハの口径があります。

口径はミリメートル単位とインチ単位で示されます。

  • 6インチ:150mmウエハ
  • 8インチ:200mmウエハ
  • 12インチ:300mmウエハ

現在の先端半導体では12インチ(300mmウエハ)が使用されています。ただパワー半導体やセンサ、その他の特定半導体では6インチウエハや8インチウエハもまだまだ使用されています。

シリコンウエハの口径拡大をするメリットは、コスト低減のためです。ウエハ口径が大きくなれば、同じチップ面積を仮定するとチップの取れ数が増加します。

6インチウエハの面積を1としたとき、8インチウエハは1.78、12インチウエハでは4となります。

ただし大口径用の製造装置はより高価になりますので、あとは生産性や採算が合うかどうかという点が大切です。

シリコンウエハの生産量とGWの市場シェア

次にシリコンウエハの生産量と市場シェアを見てみましょう。

シリコンウエハの生産量は2000年から2021年までの間で見ると年平均成長率が4.35%となっており、多少の上下はあるものの基本的には右肩上がりで増加しています。

シリコンウエハの生産量が増加しているということは、半導体の生産量が増加しているということです。

シリコンウエハの市場シェアは2019年時点でが信越化学が世界一のシェアを誇っています。僅差の2位がSUMCOで、日本企業が1,2位を占めており、市場全体のシェアとしてもおよそ半分を占めています。

そして3位が台湾のグローバル・ウェーハズです。

その次は4位がドイツシルトロニック、5位が韓国のSKシルトロンとなっています。この上位5社で市場をほぼ独占している格好になります。

GWJの国内拠点

GWJの国内拠点は本社兼新潟工場が新潟県にあり、ここでは主にポリッシュドウエハやアニールウエハの加工が行われています。

単結晶製造は山形県にある小国結晶センターで行われ、新潟県にある関川工場では拡散ウエハやSOIウエハの加工が行われています。

山口県にある徳山工場ではエピウエハが作られており、栃木県にある子会社のエム・イー・エム・シーではエピウエハやポリッシュドウエハが手掛けられています。

GWJのデータ

GWJは上場企業ではありませんので、有価証券報告書がありませんでした。ただホームページ上では様々なデータが紹介されていましたので、その内容を見ていきましょう。

まず従業員データですが、1000名を超える中で理系が8割、男性が9割近くという典型的なメーカーの構成と言えます。

働き方データでは残業時間が平均で16時間とそれほど長くなく、育休と産休の取得率と復帰率は100%と数少ない女性が働きやすそうな職場ではありそうです。ただ女性管理職は1.0%と希少な存在です。そもそもの母数が少ないので仕方がないのかもしれません。

まとめ

公式サイト

グローバルウェーハズ

グローバルウェーハズ・ジャパン

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