【半導体関連企業研究】TSMC熊本工場の運営会社であるJASMを徹底解説

TSMCが作る熊本工場は、新聞やニュースなどでよく取り上げられ、注目されています。JASMはそのTSMC熊本工場の運営会社として設立されたTSMCの子会社です。

この記事ではそんなJASMについて設立の経緯や、親会社であるTSMC、募集されている職種、年収について徹底解説します。是非とも最後までご覧ください。

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  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
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  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
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ずーぼ  
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目次

動画で解説:JASMについて

JASMとはTSMC熊本工場の運営会社

JASMは正式にはJapan Advanced Semiconductor Manufacturing株式会社で、頭文字を取ってJASMと言われます。読み方はアルファベットをそのまま読んで「ジェーエーエスエム」と言われたり、「ジャスム」と言われたりします。

本社所在地は熊本県菊池郡菊陽町で、2022年現在鋭意建設中の工場近くの住所となっています。設立日は2021年12月10日です。上場はされておらず非上場で、売上高はまだなく、従業員数もまだ公表されておりません。従業員の募集自体は2022年から始まっていますので、2023年から入社されると考えられます。

JASMの設立背景

JASMが設立された背景は大きく3つあります。

  • 1つ目は、ここ数年さまざまな要因が重なって生じた「半導体不足」です。
    日本のみならず各国で半導体の安定調達が課題となりました。
  • 2つ目は、アメリカと中国の貿易摩擦などによる対立によって、「半導体」が多くの産業によって必要不可欠な戦略物資としての重要度が再認識されたことです。
    そして半導体製造が台湾を中心とした東アジアに偏在している点が地政学的なリスクであるということを世界が認識したためです。
  • 3つ目は、日本は半導体製造装置や材料の分野では一定の強みを持つものの、先端プロセスの製造拠点がないためです。
    そのため先端プロセス品の多くを台湾に依存しています。これまでは大きな問題にはなりませんでしたが、1つ目と2つ目の理由によって問題である点が浮き彫りになりました。

これららの理由によって、経済産業省が中心となって世界一のファウンドリ企業であるTSMCの工場を国内誘致し、その運営会社としてJASMが設立されました。

TSMCの工場を国内誘致するにあたって、TSMC側へのインセンティブとして成立させた法律が「特定高度情報通信技術活用システムの開発供給及び導入の促進に関する法律」です。

長い名称の法律ですが、この法律によって実現することはTSMCへ対する補助金です。具体的には、特定半導体基金による補助金がJASMには最大で4760億円交付される見込みです。補助金交付のための工場計画が2022年6月に認定されています。

ファウンドリとはウエハ製造専業企業

ここではファウンドリ企業について半導体業界の中での位置づけをみてみましょう。

半導体業界には大きく4つのプレーヤーが存在します。

  1. 半導体製造メーカー
    半導体業界のメインプレーヤーで実際に半導体を製造します。
  2. 半導体製造装置メーカー
    半導体製造装置をつくり、半導体製造メーカーへ納入します。
  3. 半導体材料メーカー
    半導体製造に必要となる材料をつくり、半導体製造メーカーに納入します。
  4. 半導体商社
    装置や材料、完成した半導体など各企業間の取引を仲介します。

ファウンドリ企業はこの中の半導体製造メーカーとなります。ただその中でも半導体の前工程製造に特化しており、商品企画や設計や後工程製造は行いません(一部除く)。

ファブレス企業(工場を持たずに設計に特化した企業)などによって企画、設計された製品の製造のみを行います。半導体業界における水平分業体制の象徴的な企業と言うことができます。

TSMCは世界最大のファウンドリ企業

JASMの親会社であるTSMCはTaiwan Semiconductor Manufacturing Companyの略称で、ファウンドリ企業として世界最大の企業です。

1987年にモリス・チャン氏が創業した企業で、創業当初からファウンドリ専業企業です。現在、半導体業界で主流となっている水平分業ビジネスモデルの一翼を担って成長してきました。

世界中に500以上の顧客を持ち、10000以上の製品を製造していると言われています。主な顧客としては、アップルやAMD、エヌビディアにクアルコム、日本企業ではソニーやルネサスなどの大手企業がずらりと並びます。

株式市場での評価も高く、2022年初の世界時価総額では10位に位置しています。時価総額ではトヨタ自動車の倍以上となっています。

次にファウンドリ市場のシェア(2021年)をみてみましょう。これを見ることでTSMCの強さがよく分かります。

トップのTSMCは市場シェアは53%となっており過半を超えています。圧倒的な首位と言うことができます。

2位は韓国のサムスン電子です。シェアは18%です。サムスン電子は自社製品の製造を行っていますが、ファウンドリ事業も手掛けており、TSMCを追っています。とは言えその差はまだまだ大きいと言えます。

3位は台湾のUMCです。シェアは7%。TSMCと同じくファウンドリ専業企業です。ただ最先端プロセスへの投資は行っておらずそれ以外のプロセスを手掛けています。

4位は米国のグローバルファウンドリーズです。シェアは6%。元々はCPUメーカーであるAMDの製造部門でした。その製造部門が分離独立してファウンドリ企業となっています。

5位は中国のSMICです。シェアは5%。中国最大の半導体製造メーカーです。

JASMの出資会社

ここではJASMに出資した日本の2社をみてみましょう。

JASMの出資会社:ソニーグループ

1社目はソニーグループです。ソニーグループは、電機メーカーであるソニーを中心とする複合企業です。半導体事業も手掛けており、ソニーセミコンダクタソリューションズがソニーグループの半導体事業を担っています。


2021年11月にソニーセミコンダクタソリューションズが約5億ドルを出資することを発表しました(出資比率は20%未満)。

その理由は3つ発表されています。

  • 1つ目はロジック半導体の安定調達
  • 2つ目はTSMCとの技術連携強化
  • 3つ目は日本国内のサプライチェーン強化への貢献

CMOSイメージセンサが強いソニーグループですが、ロジック半導体の多くはTSMCを中心として外部調達しています。その安定化が大きな目的と言えます。

JASMの出資会社:デンソー

2社目はデンソーです。デンソーは売上高が日本で1位、世界でも2位の自動車部品メーカー大手です。さらに車載用半導体を一部内製しており、売上高では世界5位相当に位置する企業です。

2022年2月にデンソーは約3.5億ドルを出資することを発表しました(出資比率は10%超)。

発表された資料によりますと、車載用マイコンの安定調達、サプライチェーン強化が目的と言えます。

JASMの製造拠点

JASMの製造拠点は熊本県菊池郡菊陽町に建設中です。位置はソニーの半導体製造子会社であるソニーセミコンダクタマニュファクチャリングの熊本TECに隣接しています。

敷地面積が21.3万㎡、建設面積が7.2万㎡という巨大な工場です。よく例えで出される東京ドーム換算では敷地面積が東京ドーム4.6個分、建設面積が東京ドーム1.5個分に相当します。

12インチウエハ換算で月産5.5万枚の生産能力を持ち、22/28nmと12/16nmプロセスのロジック半導体を生産すされます。初回出荷は2024年12月の予定です。

JASMの年収

JASMの新卒採用は2022年から始まっています(2023年4月入社見込み)。新卒の初任給としては多くの日本企業よりも高い水準となっています。

また中途採用も積極的に行っているようです。物流やファシリティ、品質管理などの職種で募集がかかっており、待遇もかなり良い提示がされています。もちろんこれまでの経験に応じて決められるようですのである程度の幅が設定されています。

まとめ

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