【半導体企業研究】フラッシュメモリ大手のキオクシアの歴史や業績・年収を徹底解説

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キオクシアは、元々東芝のメモリ事業が分社してできた東芝メモリが社名変更した企業です。

フラッシュメモリでサムスン電子に次いで世界2位のシェアを持ち、売上高として日本の半導体製造メーカー首位を誇ります(2021年度末時点)。

この記事では、そんなキオクシアについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。

是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人

【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
  • 著書を出版しました
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ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
  • 半導体業界に興味がある
  • 半導体業界に就職、転職したい
  • 特にキオクシアについて調べたい
目次

動画で解説:キオクシアについて

キオクシアとは東芝から分離したフラッシュメモリ大手企業

キオクシア株式会社は、本社が東京都港区芝浦にあります。最寄りの駅はJR田町駅や都営地下鉄三田駅です。

設立は2019年3月で、随分と最近のように思われます。この後の歴史でも触れますが、東芝のメモリ事業が分社してできた東芝メモリがキオクシアに社名変更したのが2019年のためです。

株式市場には未上場です。2020年に上場予定でしたが、コロナ禍の影響等によって延期されています。

売上高は2022年3月期(2021年度期)、約1兆5000億円です。この売上高は、日本の半導体製造メーカーとしては首位の金額となっています(2021年度末時点)。

社名の「キオクシア(KIOXIA)」は日本語の記憶(Kioku)とギリシア語で価値を意味するaxiaを組み合わせた造語

ブランドキャッチコピーは「記憶で世界をおもしろくする」です。このキャッチコピーを使ったCMも打っています。

キオクシアの歴史

キオクシアは元々東芝のメモリ事業が分社してできた企業です。そのためキオクシアの歴史の大半は東芝の歴史となります。

その東芝は、発祥が明治時代までさかのぼります。

1875年(明治8年)に「東洋のエジソン(ただしエジソンよりも田中久重の方がかなり年上)」、または「からくり儀右衛門」と呼ばれた田中久重が東京に電信機工場を創設したことが東芝の発祥とされています。

田中久重が創設した工場は後に芝浦製作所となり、1939年(昭和14年)に芝浦製作所と東京電気が合併して東京芝浦電気になりました。1984年(昭和59年)に東京芝浦電気が東芝に社名変更しています。今から40年ほど前のことです。

1987年(昭和62年)に当時東芝に在籍していた舛岡富士雄氏によってNAND型フラッシュメモリが発明されます。そして1991年(平成3年)に製品化されました。翌1992年(平成4年)には、現在のフラッシュメモリ主要工場である四日市工場が設立されました。

2017年(平成29年)に東芝のメモリ事業が分社化し、東芝メモリが設立されます。2019年(平成31年・令和元年)に東芝メモリホールディングスが設立され、さらにキオクシアホールディングスに社名変更されて現在に至ります。

フラッシュメモリとは半導体を利用した記憶装置

ここでキオクシアの主力製品であるフラッシュメモリについてみてみましょう。

フラッシュメモリとは、半導体を利用した記憶装置

記憶装置としては磁気を利用したハードディスクドライブ(HDD)があります。HDDと比較するとフラッシュメモリの方が軽量、小型です。

保存できる容量はHDDの方が優れていましたが、現在ではフラッシュメモリの大容量化が進み、同等もしくはHDD以上になりつつあります。

フラッシュメモリの特徴は、何度も繰り返し書き込みが可能で電源を落としても記憶内容が維持されること

そのため身近なところではスマホやPCの記憶媒体として利用されています。私たちのスマホの保存容量が大きくなっているのはフラッシュメモリの進化のおかげです。

またPCの記憶媒体はこれまでHDDが使用されてきましたが、フラッシュメモリを利用したSDDが近年よく使われれるようになってきています。

NAND型フラッシュメモリの構造は、複数の薄膜の集合体です。半導体基板上にトンネル絶縁体があり、その上に電子を貯める導電性電荷蓄積膜(フローティングゲート)があります。そしてその上には絶縁体の膜があり、一番上に制御ゲート(コントロールゲート)があるという構造です。

・「0」のデータ信号を記憶
制御ゲートに高電圧を印加して基板側の電子を導電性電荷蓄積膜に貯める

・「1」のデータ信号を記憶
基板側に高電圧を印加して導電性電荷蓄積膜の電子を引き出す

非常に簡単な説明になりますが、根本的な原理はこのようになっています。

このフラッシュメモリのセルを平面的に配置して、さらに3次元的に積層していくことで大容量化が実現されています。3次元化はどんどんと進み100層からさらに200層を超えたものまで作られています。

キオクシアの市場シェア

まずメモリ市場全体の規模をみてみましょう。

メモリ市場は2020年時点で市場規模が1281億ドル、1ドル135円としますと約17兆3000億円の市場です。この中はNAND型フラッシュメモリとDRAMで96%以上を占めています。

今後も世界全体での市場拡大が予想されています。その理由は、5Gの普及やBig Dataの拡大、AIやIoTの普及などによって取り扱われるデータ量が増大していくためです。

次にNAND型フラッシュメモリの市場規模をみてみましょう。こちらも2020年時点で572億ドルであり、メモリ市場1281億ドルの約45%を占めています。

その中では、

  • 1位:サムスン電子
  • 2位:キオクシア
  • 3位:ウェスタンデジタル
  • 4位:マイクロン
  • 5位:SKハイニックス

となっています。6位となっているインテルのフラッシュメモリ事業はSKハイニックスが買収しましたので、上位5社で寡占されています。

キオクシアの業績

キオクシアの業績を確認しましょう。2022年3月期決算では、

売上高が1兆5265億円、営業利益2162億円、営業利益率14.2%

製造業で営業利益率が二桁に達している点は評価できます。

四半期毎の推移をみますと、2020年度は赤字の期もありますが、2021年度は軒並み好調でした。半導体市場全体が伸びていたことも大きいと言えます。

2022年のここ最近は調整が入りつつありますが、中長期的には市場全体が拡大していくと予想されていますので、今後にも期待が持てます。

株式市場への上場は延期されていますが、今後どういったタイミングで上場されるのかにも合わせて注目です。

キオクシアの製造拠点

キオクシアの拠点は本社が東京にあり、研究開発拠点が横浜です(四日市工場内にも一部あります)。

製造拠点としては、三重県四日市市にメイン工場となる四日市工場があります。そして岩手県北上市に四日市工場に次ぐ新たな製造拠点として北上工場があります。

それぞれをみていきましょう。

四日市工場

キオクシアの四日市工場は世界最大規模のフラッシュメモリ工場です。

1992年に設立されていますので、今年2022年で設立から30年になります。1993年に第1製造棟が稼働し、当時はDRAMを製造していました。その後、東芝がDRAMから撤退し、フラッシュメモリ工場となっています。

2022年時点では第7製造棟まで建設しており、全景写真を見ても分かるようにこれ以上の拡張スペースは無さそうです。

敷地面積の問題と、BCPの観点から四日市工場の拡張はここまでとなり、北上工場が拡張されていくと考えられます

北上工場

キオクシアの北上工場は、フラッシュメモリ製造会社として設立されたキオクシア岩手の工場です。

2020年から第1製造棟が稼働し、現在は第2製造棟を建設中です。今後も製造拠点としての投資が続けられていくと考えられます(またはさらに別拠点となっていくかもしれません)。

キオクシアの年収

ここではキオクシアの年収についてみてみましょう。

キオクシアホールディングス株式会社の有価証券報告書をみてみますと、平均年収は1128万円となっています。かなりの高年収であると言えます。

ただしこれはキオクシアの親会社(持ち株会社)であるキオクシアホールディングスの113名の平均ですので、その点には注意が必要です。

キオクシアの採用情報をみてみますと、初任給は他の大手企業と変わらない水準と言えます。

まとめ

公式サイト

キオクシア

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