レーザーテックは、日本の半導体製造装置メーカーで主フォトマスクやその原材料であるマスクブランクスの検査装置の大手企業です。
社名の由来にもなっているレーザー技術を用いた半導体関連やその他の検査・測定装置を手掛けており、営業利益率、給与が高いことでも有名です。この記事では、そんなレーザーテックについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。
【プロフィール】
- 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
(経験10年以上) - 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
- 著書を出版しました
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- 半導体業界に興味がある
- 半導体業界に就職、転職したい
- 特にレーザーテックについて調べたい

動画で解説:レーザーテックについて
レーザーテックはレーザー技術を使って最先端の製品開発に特化する企業

レーザーテックは本社を神奈川県横浜市に置く半導体製造装置メーカーです。
社名の由来となっているレーザー技術を使って半導体関連の検査、測定装置を手掛ける企業です。営業利益率と給与が高いことでも非常に有名です。
設立は1960年で、東証プライム市場に上場しています。証券コードは「6920」、売買される株式数が多く日本株の個別株投資をする方にとっても有名な企業と言えます。
2024年6月期の売上高はおよそ2100億円、従業員数は約860名です。
レーザーテックの歴史

レーザーテックの創業は1960年、大手電機メーカー出身の創業者内山康氏が独自の新製品を開発したいという想いから独立して東京ITV研究所とういう社名で創業されました。
そして1962年に日本自動制御が設立、1986年に現在のレーザーテックへと社名変更されています。
1975年に半導体事業へ参入し、LSI用のフォトマスク・ピンホール検査装置を世界で初めて開発、発売しました。2009年にはパワー半導体で使用されるSiCウェハの欠陥検査、レビュー装置を開発、発売しています。
そして2017年にEUV光を用いたEUVマスクブランクス欠陥検査、レビュー装置を世界で初めて開発し、発売しています。
レーザーテックの位置付け

次に半導体製造装置メーカーにおけるレーザーテックの位置づけを確認してみましょう。
上図は2023年の世界の半導体製造装置メーカー売上高ランキングです。
レーザーテックは15位に位置しており、国内では東京エレクトロン、アドバンテスト、SCREEN、日立ハイテク、ディスコ、KOKUSAI ELECTRICに次いで7位となっています。国内企業が強みを発揮している装置分野で一定の存在感を持っています。
レーザーテックの事業内容

レーザーテックのコア技術はレーザーなどの光応用技術です。具体的には以下の3つです。
- 共焦点光学系技術
- DUV/EUV光学系技術
- 光干渉計技術
これらのコア技術に、エレクトロニクス・画像処理技術・精密機構の周辺技術との組合せによって最適なソリューションを提供するとしており、事業としては
- 半導体
マスクブランクスやフォトマスク、ウエハの検査・計測装置 - FPD
フラットパネルディスプレイ用フォトマスクの欠陥検査装置 - レーザー顕微鏡
レーザーマイクロスコープ
などを手掛けています。
半導体プロセスにおける位置付け

ここで半導体プロセスにおける位置付けを確認しましょう。
半導体を作る工程は、大きく分けて
- ウエハを製造する工程
- 前工程
- 後工程
に分けられます。
前工程のフォトリソグラフィ工程で使用されるフォトマスク、さらにはその原材料であるマスクブランクスに欠陥などがないかを検査する際にレーザーテックの装置が使用されています。
フォトリソグラフィ工程とは

フォトリソグラフィ工程についてもう少し詳しく見てみましょう。
フォトリソグラフィ工程とは、フォトマスクの回路パターンを紫外線などで照射、露光させてシリコン基板に転写させる工程のことです。
マスクブランクスや回路パターンの原版であるフォトマスクに微細なダストの付着や傷、凹凸から生ずる欠陥があると、多数の不良チップができてしまうため、当然欠陥ゼロが望ましいのですが現実的には困難となっています。
そのため、マスクブランクスやフォトマスク上に欠陥がないかを検査装置で検知させる必要があります。
半導体では微細な回路を形成するため、マスク上の欠陥についてもumからnmオーダーの非常に小さな欠陥も問題になるため見逃すことがないようにしなければなりません。
レーザーテックの強み

レーザーテックの強みとしては、EUV露光と呼ばれる最先端の半導体製造に不可欠な露光技術に使用されるフォトマスクやマスクブランクスの検査装置を製造できる点です。
半導体はより一層の小型化や高性能化が図られており、微細化が進んでいます。EUV露光では従来の透過型と呼ばれるフォトマスクとは異なる反射型積層構造のマスクを使用します。
レーザーテックはNEDOプロジェクト「次世代半導体微細加工・評価基盤技術の開発」の下で次世代のEUVマスクブランクス欠陥検査技術の確立に成功し、現状ではEUV向けマスクの検査装置ではデファクトスタンダードとなっています。
レーザーテックの業績

レーザーテックの2024年6月期決算では、売上高が2,135億円、営業利益が813億円、営業利益率は製造業では驚異の38.1%となっています。実に4割近い利益率を誇る超高収益企業です。
業績の推移も過去3年で売上高と営業利益が3倍になるという成長を遂げています。
レーザーテックの製造拠点

レーザーテックはメーカーですが、製造戦略としてファブライト戦略を取っています。これは生産を外部に委託することでレーザーテックは開発に特化し、試作品のみを自社で製作するというものです。
売上高の10%を研究開発費に充てており、従業員の7割がエンジニアという企業です。
そのため、拠点としては神奈川県横浜市の本社と本社のすぐ近くにあるLasertec Innovation Parkの2拠点で研究、開発が行われています。
レーザーテックの年収

最後にレーザーテックの年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。
2024年に提出されているレーザーテックの有価証券報告書によりますと、従業員数479名の平均年収として約1,638万円となっています。平均年収が1,600万円を優に超える超高年収企業と言えます。
新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と比較して大きな違いはありません。そのため、入社後の伸びとボーナスによる還元が大きいのではないかと考えられます。羨ましい限りです。
レーザーテックまとめ


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