【半導体企業研究】ルネサスエレクトロニクスの歴史や業績・年収を徹底解説

ルネサスエレクトロニクスは、日立製作所と三菱電機、NECの半導体事業が統合してできた企業です。

マイコン分野で強みを持ち、近年では積極的な企業買収によって売上高と営業利益が向上しています。

この記事では、そんなルネサスエレクトロニクスについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。

是非とも最後までご覧ください。

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目次

動画で解説:ルネサスエレクトロニクスについて

ルネサスエレクトロニクスとは

ルネサスエレクトロニクス株式会社(以下ルネサス)は、本社が東京都江東区豊洲にあります。最寄りの駅は東京メトロとゆりかもめの豊洲駅です。

設立は2002年11月ですので、今年(2022年)は設立から20年ということになります。

この後の歴史でも触れますが、日立製作所と三菱電機の半導体事業を統合してできたルネサステクノロジとNECの半導体事業を分社化してできたNECエレクトロニクスが統合してできた企業です。

上場市場は東京証券取引所プライム市場で、証券コードは6723です。

売上高は2021年12月期、約1兆円です。この金額は日本の半導体製造メーカーとしてはキオクシアに次いで2位の金額となっています。

社名の「ルネサス(Renesas)」は「Renaissance Semiconductor for Advanced Solutions」を取って名付けられました。

ルネサスエレクトロニクスの歴史

ルネサスは日立製作所と三菱電機、NECの半導体事業が統合してできた企業です。そのため企業の歴史はその3社の歴史になりますが、個々の企業を設立から見ていきますと広くなりすぎますので、ルネサスが設立された2000年代から見ていきます。

2000年代(ルネサスエレクトロニクス設立まで)

2002年に日本電気(NEC)が汎用DRAMを除く半導体事業を分社化してNECエレクトロニクスが設立されました。

ちなみに汎用DRAM事業は、日立製作所のDRAM事業と統合してNEC日立メモリとなり、後にエルピーダメモリ(三菱電機のDRAM事業も統合)と商号変更し、現在はマイクロンに買収されてマイクロンメモリジャパンとなっています。

2003年に日立製作所と三菱電機の半導体事業(パワー半導体を除く)が分社、統合してルネサステクノロジが設立されました。

そして2010年にNECエレクトロニクスとルネサステクノロジが業績悪化の打開策として合併による規模拡大のために統合してルネサスエレクトロニクスが設立されました。

ルネサステクノロジのロゴは赤色で、ルネサスエレクトロニクスのロゴが青色のため、ルネサステクノロジのことを赤いルネサス、ルネサスエレクトロニクスのことを青いルネサスとも当時は呼ばれました。

また2010年には先端プロセス品の自社開発、量産から撤退しています(量産は40nm世代まで)。

2010年代前半(苦難の時期)

2010年代前半はルネサスにとって苦難の時期でした。

まずは2011年の東日本大震災。この時ルネサスは主力工場である那珂工場を中心に多くの工場で被災しました。中でも那珂工場の被害は酷く、当面は生産再開はおろか復旧すら困難な状況と思われました。

しかし、トヨタグループを中心とする復旧部隊によって約半年で震災前の生産水準に戻るという驚異的な復旧、復活を遂げました。この要因としては那珂工場で生産されていたマイコンがないと自動車をつくることができないという危機的な状況があり、経済産業省やトヨタ自動車を中心として人員や設備等々が惜しみなく投資されたためです。私自身は直接関与していませんが、知人も那珂工場へ行ってこの復旧業務に数カ月従事していた方が何人もいます。

震災からの早期復旧は遂げましたが、業績は芳しくなく2013年には経営悪化のため、産業革新機構傘下となり実質的な国有化となりました。この頃に国内工場の統廃合が進みました。

そして2014年に相次ぐ人員や工場のリストラ等によって発足以来初めての黒字化を達成しました。と言っても、かなりの血を流しながらの黒字化という状況でした。

拠点の統廃合

ルネサスは日立、三菱、NECの3社が統合してできた企業ですので、国内工場は各地に点在しており生産効率という面では決して良くありませんでした。そのため拠点の統廃合が進められました

前工程では2022年現在稼働しているのは以下の4工場です。

那珂工場(主力工場)
西条工場
川尻工場
高崎工場

甲府工場は2014年に閉鎖されましたが、2022年に900億円を投資して2024年に12インチラインとしてパワー半導体を生産することが発表されました。一度閉鎖した工場に投資して再稼働するという珍しい事例です。

これらの工場以外は、他の半導体や電子部品企業に譲渡されたり、閉鎖されました。

後工程の工場も同様です。2022年現在稼働しているのは以下の3工場です。

米沢工場
大分工場
錦工場

その他の工場は国内OSAT企業に譲渡されたり、閉鎖されています。

2010年代後半から現在(積極的な企業買収へ)

2010年代後半は積極的な海外企業買収を行いました。

まず2017年に約3200億円を投じて米国のIntersil社を、続けて2019年に約7300億円で米国IDT社を、そして2021年には約6200億円で英国Dialog社を買収しました。

この3件の大型買収だけで約1兆7000億円近くを投じており、当時は財務状況が悪化する、買収によるシナジーが得られない等の否定的な意見がありました。

しかしこれらの企業買収によって産業・インフラ・IoT事業の売上高は増加しており、買収企業の人材活用も進んでいます。個別の内容はともかく、現時点では良い方向に効果が出ているように見えます。

現在の経営陣構成

ルネサスの経営陣は多様な構成となっています。

CEOである柴田英利氏とCFOは産業革新機構の出身者です。そして他の幹部は日立製作所と三菱電機といった前身企業出身者とIntersil、IDT、Dialogといった買収企業出身者が占めています。

前身企業のひとつであるNEC出身者は入っていない点は、個人的に気になりました。

株主構成の推移

次はルネサスの株主構成の変遷をたどってみましょう。

まずは2010年から2013年の設立期です。この時期は90%以上を旧親会社である日立製作所と三菱電機、NECが占めています。当然と言えば当然ですね。

しかし2013年に第三者割当増資を行い産業革新機構(INCJ)が70%近くを占めることになります。この後は徐々に株式の売り出しが行われてINCJの持ち分は減っていきます。

2022年現在では、INCJは12.5%まで下がり、デンソーやトヨタなどの自動車メーカー系列が13.2%、旧親会社3社が10.3%、その他が60%以上という構成比となっています。

産業革新機構傘下になっていた頃と比較しますと、各社の持ち分が分散されて、かなり健全な格好になっている印象です。

ルネサスエレクトロニクスの強みと市場シェア

ここではルネサスの強みをみていきます。

ルネサスの強みは何と言っても汎用マイコンと車載マイコンで高いシェアを持ち、豊富な製品ラインナップがあることです。

マイコンとは
1チップ内にコンピュータが持つ基本機能一式(演算機能、記録機能、入出力機能)を備えたICのことで、我々の周りの家電や自動車などに幅広く使用されています。工場などの産業機器にも多く使用されています。

ルネサスでは世界標準となっているArmコアの32ビット、64ビットマイコンやルネサスコアの8ビット、16ビット、32ビットマイコン等を持っています。

マイコン(MCU)市場は2020年時点で173億ドルで、今後も成長が予想されている市場です。

ルネサスの市場シェアは17.1%と首位のNXP(17.2%)とほぼ同じシェアを持っています。

自動車向けマイコンでは2019年時点で31.4%と世界1位のシェアを獲得しています。

ルネサスエレクトロニクスの業績

ルネサスの業績推移もみてみましょう。

設立当初は赤字に苦しんでいましたが、近年では売上高、営業利益が向上しています。

2020年からの四半期毎の売上高、営業利益は右肩上がりとなっており、営業利益率も向上しています。直近の2022年2Q(4月から6月期)では営業利益率が38.5%と製造業ではかなりの高収益体制となっており、海外同業他社とも遜色ないレベルです。

セグメント別売上高は2021年通期でみますと、産業・インフラ・IoT事業とオートモーティブ(自動車向け)事業でおよそ半々の構成となっています。

冒頭でも記載しました通り、2021年の売上高は国内半導体製造メーカーでキオクシアに次いで2位となっています。

ルネサスエレクトロニクスの製造拠点

ルネサスの製造拠点は拠点統廃合のところで記載しましたように、2022年時点で前工程が4拠点、後工程が3拠点となっています。その中で前工程の主力工場が那珂工場です。

那珂工場は2001年に世界で初めて300mm(12インチ)ラインのウエハ量産化に成功した工場であり、2009年には世界で初めてとなる32nmプロセスの開発ラインを稼働しています。2000年代にはこうした輝かしい歴史がありましたが、2010年代以降は苦難の歴史をたどってきたことは既述の通りです。

ルネサスエレクトロニクスの年収

最後にルネサスの年収についてみてみましょう。多くの方が気になるところですね。

有価証券報告書によりますと、従業員数6116名の平均年収として882.6万円となっています。かなりの高年収企業と言えます。

新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。入社後の昇給が異なってくると推察されます。

オープンワークをみてみますと、正社員151人の回答者平均年収は768万円となっています。年収範囲が400万円代から上は1500万円代となっており、役職が上がればかなりの高年収が期待できそうです。

まとめ

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