【半導体関連企業研究】パワー半導体大手のロームの歴史や事業・年収を徹底解説

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ロームは京都の半導体メーカーで近年はパワー半導体に注力している会社です。創業者である佐藤研一郎氏が一代で築き上げた企業でもあります。

この記事では、そんなロームについて歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。

是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人

【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
  • 著書を出版しました
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ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
  • 半導体業界に興味がある
  • 半導体業界に就職、転職したい
  • 特にロームについて調べたい
目次

動画で解説:ロームについて

ロームは京都の半導体メーカー

ローム株式会社は本社が京都府京都市右京区にあります。設立は1958年です。

東京プライム市場に上場しており、資本金は約870億円、2022年3月期の売上高はおよそ4,500億円となっています。

事業は主にLSI、半導体素子、モジュールとなっている半導体メーカーです。たまに電子部品メーカーとして取り上げられていますが、半導体メーカーの方が実情に合っていると思われます。

社名のロームは創業当時の生産品目である抵抗器の頭文字Rと、抵抗値の単位であるΩ(ohm)を組み合わせて、ローム(ROHM)となっています。

ロームの歴史

ロームは1954年に創業者の佐藤研一郎氏によって東洋電具製作所として創業され、炭素皮膜固定抵抗器の開発、販売が開始されました。1958年に株式会社東洋電具製作所が設立され、この年がロームの設立とされています。

1967年からトランジスタやスイッチングダイオードの開発、販売が開始され、半導体事業へ乗り出しています。1971年にはシリコンバレーでICの研究、開発を開始しています。かなり早い時期に進出されているようです。

1981年に商号を現在のローム株式会社に変更しています。

2008年にOKIセミコンダクタ(現在のラピスセミコンダクタ)を子会社化しています。OKIセミコンダクタは元々沖電気の半導体事業部門が源流の会社です。

2000年代以降はSiCパワー半導体に注力しており、SiCウエハのサプライヤであるSiCrystalを子会社化し、SiCのショットキーバリアダイオードやMOSの量産化を開始しています。

ロームの事業内容

ロームの事業は主にLSI事業と半導体素子(ディスクリート)事業の2本柱です。

LSI事業は民生向け、産業機器向け、車載向けの各種ドライバなどを取り扱っています。

半導体素子はパワーデバイスや汎用デバイスを取り扱っています。先に触れましたように近年はSiCパワーデバイスに注力しているようです。

パワー半導体とは電力を制御・変換するための半導体

ここでパワー半導体について簡単に確認してみましょう。

パワー半導体とは、パワーつまり電力(電気的エネルギー)を制御、または変換するデバイス(素子)のことです。そのためパワーデバイスとも呼ばれます。

明確な定義がある訳ではありませんが、通常は1W以上の電力を制御できる半導体を指しています。パワー半導体と聞くとパワーそのものを生み出すようにも聞こえますが、そうではなくてあくまでも制御や変換を行うものです。

私たちの身近なところでは、発電所で発電された交流の電気を自宅で使う家電やパソコンに必要な直流の電気に変換するために使われています。

パワー半導体について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

SiCパワー半導体とは、半導体材料にSi(シリコン)ではなく、SiC(炭化ケイ素)を使ったパワー半導体のことです。

SiCはSiと比較して、絶縁破壊電界が約10倍あり、熱伝導率が約3倍あります。

絶縁破壊電界が高いと何が良いかと言いますと、同じ耐圧であれば厚みを薄くすることができ、オン抵抗を低減することができます。オン抵抗を低減できると損失が減りますので、より高効率で省エネが実現することができます。

加えて熱伝導率が高いため、放熱性が向上します。つまりSiよりも高耐圧で低損失な素子を作ることがかのうとなるということです。

それでは、パワー半導体はすべてSiからSiCに代わるかと言いますと、そうゆうことではありません。動作周波数や電力容量が小さい分野は引き続きSi素子が利用され、電力容量が大きい分野ではSiCの採用が進みます。また動作周波数が高い分野ではGaN(窒化ガリウム)という別の半導体材料の利用が進んでいます。

要するに材料によって得意な分野があるためそれぞれすみ分けが図られていくということです。

ロームのパワー半導体事業

SiC事業の成長戦略として、以下の3点に強みを持っているため、これらを活かして市場シェア30%を目指すとしています。

  • SBDやトレンチMOSを世界初リリースして性能向上を継続しているということでテクノロジーで先行
  • ウエハとデバイス、モジュールの一貫生産が可能である
  • ウエハの大口径化、デバイスの生産体制を強化している

特にSiC事業のキャパシティとしては、今後市場の急成長が予測されており、そこに対応するためにウエハは2025年くらいに8インチ化し、生産能力は2030年に2021年比で生産能力を35倍に拡大するとしています。

そのために生産工場として、本社工場、2つ目として宮崎工場(ラピスセミコンダクタ)、3つ目として筑後工場(ローム・アポロ)となっており、今後は4つ目の工場を計画中としています。

ロームの市場シェア

ディスクリート半導体市場における東芝のシェアを確認してみましょう。

2020年のデータですので少々古いですが、まず市場全体としては今後も右肩上がりの成長が見込まれている分野です。その中でロームは世界7位、約4%のシェアを確保しています。

トップはドイツのインフィニオンテクノロジーで、日本企業では三菱電機や東芝、富士電機、ルネサスエレクトロニクスが上位に食い込んでいます。3位以下のシェアは似たり寄ったりで大きな差異はありません。

SiCパワー半導体に限った市場シェアも確認してみましょう。

まず市場の成長予測としては2021年から2027年の間に34%の成長率で拡大し、市場規模はおよそ6倍に成長することが見込まれています。用途としてはメインは車載向けです。電動車向けのインバータなどがメインの用途と考えられます。

売上高ランキングでは、トップがSTマイクロエレクトロニクスで、2位がインフィニオン、3位がウルフスピードで、ロームは4位に位置しています

ロームの業績と中長期目標

ここではロームの業績を見ていきます。2022年度は売上高が5,000億円を超え、営業利益率が18.2%となっています。

売上高の内訳はLSIが46%、半導体素子が42%、モジュール7%、その他5%となっています。

中期経営計画では、2025年度に売上高6,000億円以上、2030年度に1兆円を目指すとしています。

ロームの製造拠点

ロームの製造拠点は本体の2工場の他は子会社が担っています。

  • 本社工場(京都府京都市)IC、センサ、SiCパワーデバイス
  • 滋賀工場(滋賀県大津市)トランジスタ、IGBT
     この工場は旧NECの工場で、後にルネサスとなり、ルネサスからロームが買った工場です。
  • ラピスセミコンダクタ宮城工場(宮城県黒川郡)IC
  • ラピスセミコンダクタ宮崎工場(宮崎県宮崎市)IC、センサ、SiCパワーデバイス
  • ローム浜松(静岡県浜松市)IC、LED
  • ローム・ワコー(岡山県笠岡市)IC、LED、レーザ
  • ローム・アポロ(福岡県八女郡)IC、トランジスタ、SiCパワーデバイス

ロームの年収

最後にロームの年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。

2022年に提出されているロームの有価証券報告書によりますと、従業員数3,546名の平均年収として789万円となっています。なかなかの高年収企業と言えます。

新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。入社後の昇給が異なってくると推察されます。

まとめ

公式サイト

ローム

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