【半導体関連企業研究】シリコンウエハ世界首位の信越化学を徹底解説

信越化学は日本を代表する化学メーカーです。半導体関連分野でもシリコンウエハで世界首位、フォトレジストで世界2位のシェアを誇っています。

この記事では、信越化学の主にシリコンウエハ事業について歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。

是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人
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  • さまざまな半導体材料メーカーや生産委託先等の半導体業界の企業との業務経験多数
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  • 特に信越化学のシリコンウエハ事業について調べたい
目次

動画で解説:信越化学について

信越化学とは4つの事業を持つ大手化学メーカー

信越化学工業株式会社は、本社が東京都千代田区丸の内にあります。東京駅を降りてすぐそばに位置しています。

会社設立は1926年ですので、あと数年で設立から100年になる歴史ある企業です。

東証プライム市場に上場しており、日経平均株価を構成する225社にも選ばれています。日本を代表する化学メーカーと言えます。証券コードは4063。

売上高は2022年3月期(2021年度期)、約2兆円です。

信越化学の主要事業は4つあります。

  1. 生活環境基盤材料
    塩ビと呼ばれる塩化ビニル材料で世界トップのシェアを誇ります
  2. 電子材料
    半導体用シリコンウエハやフォトレジストなどです
  3. 機能材料
    幅広い産業で使用されるシリコーン材料などです
  4. 加工・商事・技術サービス
    塩ビやシリコーンの加工やプラント設計などです

この中で半導体関連の事業はもちろん電子材料です。

信越化学の歴史

信越化学の設立は1926年までさかのぼります。当時は信越窒素肥料株式会社という企業名でした。読んで字のごとく肥料の会社として始まりました。

1940年に社名が現在の信越化学工業株式会社に変更されています。

そして1960年に高純度シリコンの製造を開始しています。その後、1960年代に長野電子工業や直江津電子工業などのシリコンウエハ加工の子会社が設立されています。シリコンウエハ事業には60年以上の歴史があります。

2001年には現在のシリコンウエハ事業の主力製品である300mmウエハの商業生産が開始されています。

シリコンウエハとはシリコン単結晶の薄い円盤状の基板

ここでシリコンウエハについて確認してみましょう。

シリコンウエハとは、シリコン単結晶の薄い円盤状の基板のことです。このシリコン基板上にICが作り込まれます。

「半導体」という言葉には2つの意味があります。

もともとはシリコンのような導体と絶縁体の中間の導電率(伝導率)を持つ材料自体のことを指します。

しかし現在ではこのシリコン基板の上に作り込まれるICのことを指して半導体と呼ばれています。

半導体 = IC(集積回路)

ウエハ材料はすべてシリコンという訳ではありませんが、世の中のほとんどの半導体はシリコンで作られています。その理由として大きく4つあります。

  1. シリコンは地球上の多く存在しているため
    クラーク数と呼ばれる地表表面に存在する元素の割合が酸素に次いで2番目に多いです。つまり材料の枯渇懸念がないと言えます。
  2. バンドギャップがGeより大きく高温動作できる
    半導体の黎明期にはGe(ゲルマニウム)が使われていました。ゲルマニウムよりもシリコンはバンドギャップが大きく高温での動作が可能になります。
  3. 不純物を取り除き、高純度化がしやすい
    シリコンウエハを作るには半導体グレードと呼ばれる超高純度に材料を精製する必要があります。シリコンは超高純度に精製しやすいです。(精製する必要があるため技術開発がされたとも言えます)
  4. 良質な酸化膜を形成でき、加工しやすい
    トランジスタのゲートには絶縁性が高い膜が必要です。シリコンを酸化させたシリコン酸化膜は絶縁性が高く安定した絶縁膜です。シリコンは固く加工性も良いです。

シリコンウエハの大きさを表す数値としてウエハの口径があります。口径はミリメートル単位とインチ単位で示されます。

  • 6インチ:150mmウエハ
  • 8インチ:200mmウエハ
  • 12インチ:300mmウエハ

現在の先端半導体では12インチ(300mmウエハ)が使用されています。ただパワー半導体やセンサ、その他の特定半導体では6インチウエハや8インチウエハもまだまだ使用されています。

シリコンウエハの口径拡大をするメリットは、コスト低減のためです。ウエハ口径が大きくなれば、同じチップ面積を仮定するとチップの取れ数が増加します。6インチウエハの面積を1としたとき、8インチウエハは1.78、12インチウエハでは4となります。

ただし大口径用の製造装置はより高価になりますので、あとは生産性や採算が合うかどうかという点が大切です。

シリコンウエハの生産量と市場シェア

次にシリコンウエハの生産量と市場シェアを見てみましょう。

シリコンウエハの生産量は2000年から2021年までの間で見ると年平均成長率が4.35%となっており、多少の上下はあるものの基本的には右肩上がりで増加しています。シリコンウエハの生産量が増加しているということは、半導体の生産量が増加しているということです。

シリコンウエハの市場シェアは2019年時点で信越化学が世界一のシェアを誇っています。

2位がこちらも日本のSUMCOです。日本企業が1,2位を占めており、市場全体のシェアとしてもおよそ半分を占めています。

3位が台湾のグローバル・ウェーハズ、4位がドイツシルトロニック、5位が韓国のSKシルトロンとなっています。この上位5社で市場をほぼ独占している格好になります。

信越化学の業績推移

信越化学の業績推移を見てみましょう。

2022年3月期は売上高が2兆744億円で営業利益が6763億円、営業利益率が製造業では驚異の32.6%となっています。営業利益率30%超えは製造業はもちろんですが他の産業であっても非常に高い数値です。

そんな信越化学のシリコンウエハを中心とする電子材料事業の業績も見てみましょう。

売上高全体に占める割合は34%、営業利益全体に占める割合は36%となっており、どちらも全体のおよそ1/3と言えます。信越化学の4つの事業のうち、塩ビなどの生活環境基盤材料に次ぐ規模の事業であることがわかります。

信越化学の製造拠点

信越化学の製造拠点についても確認してみましょう。

信越化学のシリコンウエハ事業における製造拠点は日本地図で見てわかるように割と固まって位置しています。
北から、

  • 白河工場
  • いわき半導体株式会社(子会社)
  • 犀潟工場
  • 直江津電子工業株式会社(子会社)
  • 長野電子工業株式会社(子会社)
  • 三益半導体工業株式会社(子会社)
  • 磯部工場
  • 武生工場

となっています。

信越化学の年収

最後に信越化学の年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。

有価証券報告書によりますと、従業員数3341名の平均年収として854.5万円となっています。かなりの高年収企業と言えます。

新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。入社後の昇給が異なってくると推察されます。

オープンワークをみてみますと、正社員55人の回答者平均年収は596万円となっています。回答者数が少ないためか平均では有価証券報告書よりは低くなっていますが、年収範囲が350万円代から上は1500万円代となっており、役職が上がればかなりの高年収が期待できそうです。

信越化学まとめ

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