【半導体関連企業研究】パワー半導体大手の東芝の歴史や事業・年収を徹底解説

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東芝はかつては日本を代表する総合電機メーカーの一社でした。いい意味でも悪い意味でも知名度は今でも抜群の企業と言って過言ではないでしょう。

稼ぎ頭であったメモリ事業はキオクシアとして分離独立していますが、パワー半導体などの事業は残っており市場で一定の存在感を発揮しています。

この記事では、そんな東芝について歴史や強み、業績、年収について徹底解説します。

是非とも最後までご覧ください。

この記事を書いた人

【プロフィール】

  • 上場企業の現役半導体プロセスエンジニア
    (経験10年以上)
  • 多くの材料メーカーや生産委託先企業との業務経験あり
  • 著書を出版しました
  • 詳しいプロフィールはこちらからどうぞ
ずーぼ  
こんな方に読んでいただきたい
  • 半導体業界に興味がある
  • 半導体業界に就職、転職したい
  • 特に東芝について調べたい
目次

動画で解説:東芝について

東芝はかつての日本を代表する総合電機メーカーの一社

東芝は本社が東京都港区芝浦にあります。最寄り駅JR浜松町駅です。

設立は1875年で、もうすぐで設立150周年を迎える非常に長い歴史を持つ企業です。東証プライム市場に上場しています。ただし、最後に取り上げますが、2023年現在日本産業パートナーズを中心とする連合によって買収され、非上場化される見込みです。

資本金は約2000億円、2021年度の売上高は約3兆3000億円となっています。3兆円を超える売上高ですので十分に大きな企業ですが、最盛期は7兆円を超える売上高を誇っていましたので、そこから比較すると半分以下にまで減っていると言えます。

過去にさまざまな事業や子会社を売却しており、現在残っているのは

  • エネルギー
  • インフラシステム
  • デバイス&ストレージ
  • 電池など

となっています。このうち半導体事業はデバイス&ストレージ事業に入っています。

かつては日本を代表する総合電機メーカーの一社でした。今でも知名度は抜群ですが、不正会計問題に端を発して、外資による買収騒動などがあり、残念ながらごたごたしている印象は否めません。

東芝の歴史

東芝の歴史は大きく2つの企業の流れがあります。創業とされる田中久重による電信機工場の流れでできた芝浦製作所と、白熱舎から東京電気となり、両社が合併して東京芝浦電気株式会社が1939年にできました。社名が東芝に変わったのは1984年であり約40年ほど前のことです。

半導体関連事業では、1959年に日本初のトランジスタ式テレビを完成させ、1976年には世界初となる自動車エンジン電子制御マイコンを開発しています。

さらに1985年には世界初のノンラッチアップIGBTを製品化し、1987年にはNAND型フラッシュメモリを発明しています。日本の半導体黎明期から存在感を発揮していました。

しかしその後は2001年にDRAM事業から撤退し、2017年にはメモリ事業が分社化し現在のキオクシアとなっています。

キオクシアの分離独立のきっかけとなったのは、2015年に発覚した不正会計問題です。

2016年度末には債務超過に陥り、解消する方法としては子会社などの資産売却でしたが、目ぼしいものは既に売却されていたため、手放さなくてならない状況に陥り、やむを得ず売却する形となりました。

東芝の半導体事業と市場シェア

東芝の半導体事業

次に東芝の半導体事業について見ていきましょう。

東芝の半導体事業としてはディスクリート半導体とシステムデバイス事業があります。

ディスクリート半導体は主にパワー半導体がメインとなり、省エネ社会を実現するキーデバイスとして幅広い分野で活用されています。システムデバイス事業では車載用デジタルICやマイコン、アナログICなどを取り扱っています。

さらに子会社であるニューフレアテクノロジーによる半導体製造装置事業も手掛けています。ニューフレアテクノロジーでは電子ビーム描画装置、エピタキシャル成長装置、マスク検査装置を取り扱っています。

パワー半導体とは

ここでパワー半導体について簡単に確認してみましょう。

パワー半導体とは、パワーつまり電力(電気的エネルギー)を制御、または変換するデバイス(素子)のことです。そのためパワーデバイスとも呼ばれます。

明確な定義がある訳ではありませんが、通常は1W以上の電力を制御できる半導体を指しています。パワー半導体と聞くとパワーそのものを生み出すようにも聞こえますが、そうではなくてあくまでも制御や変換を行うものです。

私たちの身近なところでは、発電所で発電された交流の電気を自宅で使う家電やパソコンに必要な直流の電気に変換するために使われています。

パワー半導体について詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。

東芝の市場シェア

ディスクリート半導体市場における東芝のシェアを確認してみましょう。

2020年のデータですので少々古いですが、まず市場全体としては今後も右肩上がりの成長が見込まれている分野です。その中で東芝は世界5位、約5%のシェアを確保しています。

トップはドイツのインフィニオンテクノロジーで、日本企業では東芝以外に三菱電機やローム、富士電機、ルネサスエレクトロニクスが上位に食い込んでいます。

東芝半導体事業の業績

ここでは東芝の業績を見ていきます。まず東芝全体としては直近3年分で売上高が3兆円強で推移しています。営業利益率は3から5%程度です。

セグメント別売上高比率ではデバイス&ストレージが約24%と1/4程度を占めている格好です。デバイス&ストレージ部門の業績は売上高が約8000億円、営業利益率7.6%です。

デバイス&ストレージ部門の内容としては、半導体事業は売上高の4割強を占めています。ただし営業利益は半導体が8割弱を稼ぎ出す、稼ぎ頭となっています。

22年度予測では半導体は売上高、営業利益ともに成長する予想となっており、一方でHDD(ハードディスクドライブ)は売上高微減予想です。

東芝の製造拠点

東芝の半導体事業の製造拠点は主に子会社が担っています。

  • ジャパンセミコンダクター本社・岩手事業所(岩手県北上市)システムLSI前工程
  • 加賀東芝エレクトロニクス(石川県能美市)ディスクリート前工程・後工程
  • 姫路半導体工場(兵庫県太子町)ディスクリート前工程・後工程
  • 豊前東芝エレクトロニクス(福岡県豊前市)ディスクリート後工程
  • ジャパンセミコンダクター大分事業所(大分県大分市)システムLSI前工程

東芝ではパワー半導体の生産能力増強に力を入れています。

  • 前工程
    加賀東芝エレクトロニクスに300mmの新棟を建設中です。2024年度内に稼働開始予定です。稼働開始後は生産能力が2021年度比で2.5倍になるとしています。
  • 後工程
    姫路半導体工場内に新棟を建設する予定です。2024年に着工し2025年春から稼働開始の予定です。

東芝の年収

次に東芝の年収を確認しましょう。多くの方が気になるところですね。

2022年に提出されている東芝の有価証券報告書によりますと、従業員数3673名の平均年収として892万円となっています。高年収企業と言えます。さすがは東芝といったところでしょうか。

新卒の採用情報に記載されている初任給は他の大手企業と変わらないレベルです。入社後の昇給が異なってくると推察されます。

東芝買収の行方

最後に東芝買収の行方について見てみましょう。

2023年3月に日本産業パートナーズなどの連合による買収提案を受け入れることを取締役会で決議されました。

買収目的会社は日本産業パートナーズの他にオリックスやパワー半導体を手掛けるロームなどの国内の事業会社17社と国内金融機関6社が参画しています。買収総額は約2兆円、全株取得によって非上場化となる見込みです。7月下旬をめどにTOBされるとのことです。

買収後に半導体をはじめとする各事業はどうなっていくのか、今後の動向についても注目していきたいです。

まとめ

公式サイト

東芝

東芝デバイス&ストレージ

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